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マリワナ : ウィキペディア日本語版
大麻[たいま]

大麻(たいま)ないしマリファナ (marijuana〔スペイン語のjは英語のhに近い発音。Marihuanaと綴られる場合もある。〕) とは、アサ花冠乾燥または樹脂化、液体化させたもの。これに含有される化学物質カンナビノイド(約400種類の合成物の一つ特にテトラヒドロカンナビノール (THC))には様々な薬理作用があり、嗜好品医薬品として用いられる。
大麻は、麻薬に関する単一条約でスケジュールⅠの薬物と規定され、その生産・流通・所有・使用が、医療・研究目的、産業上必要の場合を除いて原則禁止される。ウルグアイ、北朝鮮を除けば、世界中の国で大麻は違法薬物であり、個人使用についても上記条約に従い処罰規定が置かれている〔http://www.healthcarecenter.osaka-u.ac.jp/kyougikai/06_files/taima2010/p4.pdf〕。
個人による所持や使用について法規制を設けている国が多い一方、先進国を含む一部の国や州においては合法あるいは非犯罪化されており(ただし国法上は違法であるので解雇が正当化されるなどの法効果が生ずることがある〔〔〔〔)、身体的・社会的有害性についての評価は地域ごとに差がある。日本においては、大麻取締法により、大麻の所持、栽培、譲渡等に関して規制があり、その取扱には当局の許可を得ることが必要(免許制)であるが、実際の運用においてはほとんど許可を出さないのが実情である(後述)。
== 概要 ==
1925年にジュネーブ国際アヘン会議において、大麻が精神病の原因になることを理由に国際法上違法薬物となって以降、大麻は精神病の原因になる等の様々な危険性があるものとされてきた。WHOの依頼により2015年に作成された「大麻とその医療使用についての最新版」においても、「大麻による精神病の誘導は、当初1903年にワーノックによって概説されてその後 立証された」(10頁)等、精神病の危険性を指摘している。
しかし大麻の危険性については、デビッド・ナット教授や、自らに穿頭術を施したことで著名なアマンダ・フィールディング等を中心に、インターネットやマスコミを巻き込んで、大麻の危険性の再検討を求める動きが強まっている。
薬物の相対的な有害性に関する論文が、医学雑誌『ランセット』に掲載されており、2007年の論文では大麻は、タバコやアルコールのような、より依存性や身体への有害性が強い薬物には属していない(ただし同論文は1049頁において煙草及びアルコールと違法薬物の危険性の直接の比較は可能ではないとする)〔。2010年の論文では、社会的な有害性も考慮した場合、アルコールは暴力や事故につながるためあらゆる乱用薬物の中で最も有害であり、大麻はまだタバコよりも有害性が低いとされる〔。両論文ともデビッド・ナットが著者の筆頭であり、同氏は乗馬はエクスタシー(違法薬物の一つ)よりも危険と述べて官職を免職されている。こうした論文は、2011年の(国連機関ではなく民間NGOである〔http://www.unodc.org/ungass2016/en/contribution_ngos.html〕)による報告書にて、様々な薬物、特に大麻が誤った危険性の認識に基づいて分類されている根拠として採用され、非犯罪化などを含めて検討すべきとしている〔。
国連機関である世界保健機関(WHO)は、1997年の報告書第13章で、「健康への大麻の既知の影響と、アルコールやタバコ/あへん剤など精神活性効果を有するさまざまな合法・非合法薬物の健康への危険性との比較」「の信頼性と公衆健康における意義については疑わしい」と述べている。〔


日本では、大麻取締法による規制を受ける麻薬(痲薬)〔麻薬の用語は、麻薬及び向精神薬取締法別表第一に定められた薬物(狭義の麻薬)をいう場合と、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、麻薬特例法を含めた麻薬五法に定められた薬物(広義の麻薬)をいう場合があるが、大麻は広義の麻薬に含まれる。国語辞典でも麻薬と説明しているものが多い。「アサから製した麻薬」(広辞苑)、「アサの別名。また、その葉や樹脂から製する麻薬。」(大辞泉)
なお、麻薬にも「麻」の字が含まれるがこの「麻」は植物のアサではなく「しびれる」の意味であり、大麻とは言葉の成り立ちに直接の関係はない。〕の一種に分類され、無許可所持は最高刑が懲役5年、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪である。
アメリカでは、2014年7月時点で23州で医療大麻として〔、2州では嗜好品として合法化されている〔。2012年のアメリカ大統領選に合わせ、嗜好品としての大麻合法化の是非を問う住民投票が3州にて行われ、コロラドワシントンの2州が賛成多数で可決し嗜好品として大麻が合法化された〔米2州が住民投票で大麻合法化、嗜好用として初めて 、ロイター、2012.11.8〕。また米国の連邦法と矛盾するものの、米国では一般法は基本的に州法が優先されるため、大麻問題に関しても同様に州法が優先することとなっている(ただしこれらは刑罰に関することであって、「合法」州においても大麻使用は医療目的であっても解雇理由となるので有職者は注意すべきである〔〔〔〔
)。またニューヨーク・タイムズは「アルコールよりも危険の少ない大麻を禁止していることで社会に多大な害悪を及ぼして来たことを批判し、大麻を禁止しているアメリカ連邦法を撤廃すべきだ」とする社説を掲載し議論を呼んだ〔 Repeal Prohibition, Again 〕。
2013年のギャラップ調査によると58%のアメリカ人が大麻の合法化を支持している〔大麻合法化の支持率、初の明確な過半数に=米調査 、ロイター、2013年10月23日〕。
カナダでは医療大麻として合法化され、カナダでの医療用マリファナ市場規模は年間約8,000万カナダドルとなっている〔ロイター「カナダ政権交代でマリファナ市場拡大期待」 〕。
また2015年カナダ政党の過半数の議席を持つ自由党により「マリファナの自由化と課税を実現する」として、嗜好品としてのマリファナ合法化へ向けての法整備も進められている。
オランダでは大麻がコーヒーショップなどで販売され、早くから大麻が事実上合法化されている事が広く知られている。2014年現在、オランダ政府は「ドイツやベルギー国境で頻発している密輸を取り締まること、外国人によるドラッグ関連のトラブルを減少させること」などを目的に南部の地域では外国人の購入を禁じる方針をとっている。それらの地域ではオランダ住民の為の「大麻許可証」の発行という制度が導入されている。一方で規制への反対派は「オランダの観光業にとって自殺行為、流通がアンダーグラウンドに潜り治安が悪化する恐れもある」と猛反発している。アムステルダムなどの地域ではそのようなことを理由に、観光客でもコーヒーショップで5グラム(約50ユーロ)までの大麻を購入することが出来るという政策を続けている〔 しかし、購入者は幾つものコーヒショップをハシゴすれば、幾らでも大麻を購入することが出来るため、ザル法となっている。観光に打撃、大麻店はオランダ人限定で 、ニューズウィーク日本語版、2011年6月〕。
イギリス薬物乱用法Misuse of Drugs Act 〕では薬物の危険度順 (ABC) に分類〔クラスAは「最も有害 (most harmful)」、クラスBは「中間 (an intermediate category)」、クラスCは「害が少ない (less harmful)」〕し、大麻はクラスBに分類されている(2009年1月よりクラスCから再度格上げ〔ただし、大麻の場合は他のB分類のドラッグの扱いとは違い、初犯は警告、再犯は罰金、それ以降は逮捕というスリーストライク制が適用される。しかし初犯の記録は残さないため、現実的にはこの方法での取り締まりは不可能である〕)。オランダのあへん法においては、ソフトドラッグの区分に分類されている。世界ドーピング防止規程〔日本アンチ・ドーピング機構 禁止表 〕では、興奮剤やヘロイン等の麻薬と共に大麻の主成分であるカンナビノイドをスポーツ競技会における禁止薬物としており、アルコールと共にカンナビノイドが特定物質〔特定物質とは「禁止表では、医薬品として広く市販され、したがって、不注意でドーピング規則違反を起こしやすい薬物、あるいはドーピング物質としては比較的乱用されることが少ない薬物」。制裁処置が軽減されることがある。〕とされている。長野オリンピックのスノーボードの試合で金メダルを獲得したロス・レバグリアティドーピング検査の結果大麻の陽性反応が出たため、メダルが剥奪されかけたが、オリンピックの時点では、まだ大麻を吸っていなかったことなどから、最終的に処分は取り消されている。
日本では産業用のアサは陶酔成分が生成されないよう改良された品種が用いられている。また、品種が同じでも産業用と嗜好用とでは栽培方式が異なる。前者は縦に伸ばすために密集して露地に植えられる方式が主であるが、後者は枝を横に伸ばすために室内栽培が多い。そのため嗜好目的のためのアサを産業的栽培だと偽って栽培するのは困難である。また、大麻成分の研究が目的の場合、合成のカンナビノイドが使用されるため、栽培されない。古来より日本で栽培されてきた大麻は幻覚成分であるTHCの含有量が少なく、日本には大麻を吸引する文化はなかったとされるが、麻畑では麻酔いと呼ばれる精神作用があることが知られていた〔薬物乱用「大麻の害に関して」 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「大麻」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Cannabis (drug) 」があります。



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