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ミヤマクワガタ属(ミヤマクワガタぞく ''Lucanus'')は昆虫綱甲虫目クワガタムシ科に属する分類群。ユーラシア大陸全般の、殊に冷涼な気候の地域に広く分布し、その中でもヒマラヤ地方にて種分化が進んでおり、この地域で発生したのではないかと考えられている。オオクワガタ属、ノコギリクワガタ属と並んで雌雄二形が著しいクワガタムシの代表属であるが、分子系統解析などから、ミヤマクワガタ属の雌雄二形はこれら2属と同一起源ではなく、雌雄の形態差がそれほど極端ではないオニクワガタ属と非常に近縁で、これと共通の雌雄差が著しくない形態の祖先から、オスが樹液などの餌場を縄張りとして防衛し、そこにやって来る雌を獲得する方向に収斂進化したものと考えられている。 飼育技術の発達著しいオオクワガタ属やノコギリクワガタ属の属する系統と異なり、土に産卵するタイプで、幼虫も多くは腐植土状にまで分解が進んだ朽木を摂食していること、大型の成虫を得るためにはそこまで分解が進んだ朽木で栄養価に富んだものを幼虫に与えなければならないことに加え、全般的に高温を嫌う傾向が明らかで、季節による気温変動の大きい我が国において人為的に適温を維持することが難しいこともあり、飼育繁殖は若干難しい部分がある。他にもこれらの系統と異なる性質を多く有する。 == 体の構造 == 雄の頭部が隆起して冠のようになっており、これは(頭部)耳状突起と呼ばれるが、原始的な種の中にはこれを欠くものも存在する。また、通常は耳状突起を持つ種でも、大顎が発達しない小型個体では発達が悪い。雄の大顎の内側には大きい内歯が2-3本見られ、その間とそれより根元にかけて細かい内歯が生えることが多い。多くの種は顎の先端が二股に分かれる。 茶色または黒色のものが多いが、一部前翅に黄紋ができる種も存在する。80mm-100mmに達する大型の種も多い。 また、本属は中・後脚の脛節に3-4本ほどの棘を持ち、オオクワガタ属やノコギリクワガタ属では中・後脚の脛節に棘が0-1本しかないことと比べて際立った特徴と言える。これと似たような形状の脚を持つのはチリクワガタ属やタランドゥスオオツヤクワガタにコロフォンクワガタの類である。このうち、チリクワガタは冷涼環境を好んだりする点などかなり共通性がある。 本属と幼虫の生態面などで似ている属は、オニクワガタ属とマルバネクワガタ属、ツヤクワガタ属とホソアカクワガタ属である。 Image:Lucanus-cervus-maskulinum.jpg|ヨーロッパミヤマクワガタ ''Lucanus cervus'' 小型個体では耳状突起が発達しない。 Image:Lucanus-cervus-femininum.jpg|ヨーロッパミヤマクワガタの雌 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ミヤマクワガタ属」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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