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ミョルニル : ウィキペディア日本語版
ミョルニル

ミョルニル(、ミョッルニルとも、 )とは、北欧神話に登場するトールが持つウォーハンマー)である。
名称は古ノルド語で「粉砕するもの」を意味し〔『エッダ 古代北欧歌謡集』51頁。〕、思う存分に打ちつけても壊れることなく、投げても的を外さず再び手に戻る、自在に大きさを変え携行できるといった性質を持つが、柄がかなり短いという欠点もあった〔。
再話ではミョルニルはしばしば真っ赤に焼けているとされ、これを扱うためにはヤールングレイプルという製の手袋が必要だとされる〔『少年少女世界の名作文学 第39巻 北欧編2』、1967年、小学館、ASIN B000JBPPIW、371頁(篠原雅之「北欧神話」(トールの失敗))。〕。
== 神話 ==
ミョルニルはドワーフの兄弟ブロックとエイトリ(シンドリ)が、イールヴァルディの息子たちよりも優れた物を作り出せるかという競い合いの際にグリンブルスティドラウプニルと共に作られ、トールに献上され〔『スノッリのエッダ』の「詩語法」より(『「詩語法」訳注』41-43頁。〕、彼の所有物となり、多くの巨人を打ち殺したため、霜の巨人や山の巨人はミョルニルが振り上げられる音でそれが分かるといわれる〔「ギュルヴィたぶらかし 21章」(『エッダ 古代北欧歌謡集』243頁)〕
その威力は凄まじく、一撃で死亡しなかった生物は世界蛇ヨルムンガンドぐらいであり(『ヒュミルの歌』〔『エッダ 古代北欧歌謡集』77-78頁。〕)、スカルド詩の『トール讃歌』では、巨人のゲイルロズがトールにミョルニルを持たずに自分の屋敷に来るようにと告げたという話が詠われている。
ミョルニルは相手を打つためだけに使われるものではなく、トールの戦車を引く2頭のヤギ(タングリスニとタングニョースト)を屠って食料とした後に生き返らせる際に振るわれたり〔『ギュルヴィたぶらかし』(『エッダ 古代北欧歌謡集』261頁)など。〕〔しかし骨の髄を傷つけてしまうとその骨は傷んだままとなり、完全に生き返らせることは不可能となる。〕〔この能力はケルト神話に登場する巨神ダグザの持っていた棍棒と同じ能力である。〕、バルドル葬儀の際、儀式を聖別するためにも用いられた〔『ギュルヴィたぶらかし』(『エッダ 古代北欧歌謡集』272頁)。〕。
スリュムの歌』ではスリュムという巨人がミョルニルを盗み、フレイヤとの交換を要求するが、フレイヤに変装した花嫁姿のトールを聖別するために、隠していたミョルニルを花嫁(トール)の膝に乗せたため、ミョルニルを取り返されて頭を砕かれるという顛末が描かれている〔『エッダ 古代北欧歌謡集』89-92頁。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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