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ムールヴェードル : ウィキペディア日本語版
ムールヴェードル

ムールヴェードル()は、世界の多くの地域で栽培されている黒ブドウ品種。地域によってはマタロー(Mataró)やモナストレル(Monastrell)などとも呼ばれる。
南フランスのローヌ地方やプロヴァンス地方、スペイン・地中海沿岸のや、アメリカ合衆国西海岸のカリフォルニア州ワシントン州、オーストラリアの南オーストラリア州ニューサウスウェールズ州などで栽培されている。
オーストラリアではグルナッシュ(Grenache)種やシラー(Syrah)種とともに「GSM」と呼ばれ、ブレンド用の一品種として用いられることが多い。また、ロゼワインポート・ワインスタイルの酒精強化ワインの生産にも用いられる。
== 歴史 ==

ムールヴェードル種の正確な歴史を特定するのは困難だが、多くのワイン歴史家はスペインが原産地である可能性が高いとしている。この品種は紀元前500年頃にフェニキア人によってカタルーニャ地方にもたらされた可能性がある。今日のバレンシア県サグントを意味するカタルーニャ語のムルビエドロ(Murviedro)がフランス語のムールヴェードルに転化した可能性がある。一方、スペインの一部で使用されるマタローという名称は、今日のバルセロナ県マタローに由来すると考えられている〔。このようにムールヴェードルとマタローは密接な関係を持つが、この品種はスペインで主にモナストレルとして知られており、その理由は定かではない。ワイン評論家のは、フランス=カタルーニャの両地域の尊厳を刺激しないように「中立的な」名前が選ばれた可能性を指摘している。
少なくとも16世紀までにはフランスのルシヨン地方で大きな存在感を持っており、ルシヨン地方から東のプロヴァンス地方やローヌ地方に向かって広がった〔。プロヴァンス地方とローヌ地方の2地方では十分に地位を確立していたが、19世紀後半のフィロキセラの流行で作付面積が激減した。ヨーロッパのブドウ産地はフィロキセラに対する抵抗性を持っていたアメリカ合衆国産の苗木に接ぎ木することでフィロキセラの災禍から立ち直ったが、ムールヴェードルはアメリカ産の苗木との相性が悪く、多くのブドウ畑では他品種への植え替えが進められた〔Tablas Creek Vineyard About Mourvèdre Grape Variety Guide, 2012年7月2日閲覧〕。
アメリカ合衆国のカリフォルニアにはPellier collection の一部として1860年代に到着した〔。カリフォルニアではマタローとして知られ、かつては大量生産の低価格ワインに使用された。20世紀末には上質なブドウ品種として見直され、(ローヌ系品種を愛好するアメリカの生産者団体)はコントラコスタ郡でこの品種の古いブドウ畑を探し始めた。1990年代にはボニードーン・ヴィンヤードやクラインセラーズ・ワイナリーが生産したボトルが称賛され、この品種の需要を刺激した。2000年代中頃までにはカリフォルニア州での作付面積が260ヘクタール(650エーカー)にまで増加した。
オーストラリアではマタローとして知られており、19世紀中頃にまで遡る長い歴史を有している。1980年代にはこの品種の古樹の多くがオーストラリア政府主導のブドウ植え替え計画によって引き抜かれたが、一部は現在も存続している。歴史的にこの品種は酒精強化ワインに対する無印のブレンド用品種として使用されたが、1990年代にはこの品種に対する関心が増加し、グルナッシュ種、シラー種、ムールヴェードルのブレンドである「GSM」用の品種として称賛し始めた。2000年代半ばには1,000ヘクタール以上となり、わずかに栽培面積が増加している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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