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メタドンまたはメサドン (methadone) はオピオイド系の合成鎮痛薬である。日本ではメサペインとして帝國製薬株式会社から販売されている。 メタドンは麻薬に関する単一条約で附表IIの薬物に分類されている〔Yellow List: list of narcotic drugs under international control, International Narcotics Control Board: Vienna, Austria; 46th ed., December 2004.〕。 == 歴史 == 外科手術で簡便に使用でき、かつ嗜癖性の低い鎮痛剤を探索していたドイツのIG・ファルベン社の科学者、マックス・ボックミュール () とグスタフ・エールハルト (Gustav Ehrhart) によって1937年に合成された。1941年9月11日、ボックミュールとエールハルトは彼らがヘキスト 10820 あるいはポラミドンと呼ぶ、モルヒネやオピオイド系アルカロイドと構造的に関連しない物質に関する特許を取得した。化学構造はモルヒネやヘロインと異なるが、メタドンはオピオイド受容体に作用し、同等の効果を与える。化学的には、メタドンが最も単純な構造のオピオイドである。 メタドンはイーライリリー・アンド・カンパニーによって、鎮痛薬として1947年にアメリカで導入された(商品名ドロフィン、現在はロキサン・ラボラトリーが商標を取得)。それ以来、麻薬依存症の治療に使用されるのが最も一般的になっているが、持続時間の長さと非常に低いコストから慢性痛を抑えるのにも用いられている。1か月分の供給にかかるコストはメタドンが20USドルであるのに対し、ペチジン(商品名デメロール)で鎮痛剤として同等の効果を得るには120ドルかかる(2004年後期の時点)。 メタドンを商品名ドロフィンとして、最初にアメリカで生産し始めたのはセントルイスを本拠とするタイコインターナショナル社の子会社、マリンクロット社 (Mallinckrodt) である。ドロフィンはドイツ語名の Dolphium が元であり、これはラテン語の dolor(痛み)に由来する。マリンクロットは1990年代初頭まで特許を独占し続けた。現在では多くの製薬会社がメタドンを製造・販売しているが、依然としてマリンクロットが主要な生産者である。マリンクロットはメタドンをほとんどの後発医薬品の製造会社にバルク販売し、また自社でもアメリカで商品名メタドースとして錠剤、口腔崩壊錠、経口シロップの形で流通させている。一般にはドロフィンの名は1960年代から1970年代にかけて薬物依存者が使用していたものとしてしか知られていない。ドロフィンがメタドンの一般名であると(実際は逆なのだが)勘違いしている医療関係者もこの古い商標名を使うことがある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「メタドン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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