|
モジュール式脱出装置(モジュールしきだっしゅつそうち)とは、航空機の非常用脱出装置の一種であり、コックピット部分を機体から分離して搭乗員を脱出させる形式のものを指す。 == 概要 == 航空機の緊急脱出装置としては、戦闘機等の小型軍用機が備える射出座席が有名である。この形式は、パイロットが殆ど剥き出しのまま座席のみを射出するため、条件〔海上もしくは湖の上での射出は着水による低体温症の危険が伴う上、射出時の姿勢が悪いと強烈なGの為に背骨等が折れて死亡する場合があった。〕によっては安全性に問題があった。特に、高高度を超音速で飛行する機体からの脱出〔公式に音速以上での射出に対応しているものは、Su-27・MiG-31等に装備されているズベズダ設計局製のK-36だけである。〕は困難であった。 これらの問題点を解決する為に開発されたものがモジュール式脱出装置である。この装置には、超音速飛行時や高高度飛行時の安全な脱出の他に、着水による低体温症の回避や非常用物資の充実などの利点があった。 しかし、システムが射出座席よりも大型化する為に落下速度が速く、パラシュートの大型化が不可欠の上、着地時の衝撃を緩和するエアバッグ等の軟着陸対策に掛かる重量問題や、装備変更の度に掛かる改修やメンテナンスのコストが高いなどの問題点もあった。更に、レーダーの発達により敵地への進入は低空の飛行が主流となったことや、安全性の目安にされる「ゼロ・ゼロ射出〔高度0・速度0の状態からでもパラシュートが充分に開く高度までパイロットを打ち上げられること。〕」が難しいことが、モジュール式の衰退に拍車をかける要因となった。 こうした背景もあり、現在でモジュール式を採用した軍用機は、オーストラリアで2010年末に退役済みのF-111が最後となっている。 XF-103・XF-108にもその用途故に採用が予定されたが、開発難度の高さと予算高騰が予想された事から、実験機すら作られる事無く共にキャンセルとなっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「モジュール式脱出装置」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|