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モツ煮 : ウィキペディア日本語版
もつ煮[もつに]

もつ煮(もつに)とは、など、鳥獣の内臓煮込ん料理の総称である〔広辞苑第六版などによる。なお、または内臓を煮込んだ料理とする文献も存在する。〕。
表記や呼称はもつ煮込みもつ煮込などがあり、モツをカタカナ表記する場合もある。単に「煮込み」と呼び、臓物(ぞうもつ)(=内臓)を表す「もつ」という語句を省くことがある。この項では主にその歴史的な成り立ちと日本の関東地方で食されるもつ煮を中心に記述する。
== 概要 ==

下茹でした豚または牛の小腸生姜を臭みが取れるまでさらに茹で、具材に大根人参牛蒡などの根菜類と コンニャク豆腐などを加え、醤油および味噌で味付けし、盛り付けの際に長ネギを粗みじん切りにしたものを乗せたものとなっている〔東京ガス「食」情報センターによる Yahooグルメ こだわりの居酒屋風モツ煮込み 及び、編集工房桃庵著『おつまみ横丁―すぐにおいしい酒の肴185』池田書店 ISBN 4262129284 p.42のレシピ参考。〕。材料も味付けも時期や地域によって多様である。
大まかな日本各地のもつ煮、およびそれに類する料理を挙げていくと、北海道中部の赤平炭鉱では、鉱夫の間でのナンコウ鍋と呼ばれる料理が食べられていた。このナンコウ鍋は基本的には馬肉を煮込んだ料理であるが、その出自からもともとは内臓肉を含むとされている〔宮塚利雄 著「日本焼肉物語」p.39-p.43〕。「なんこ鍋」とも呼ばれ、秋田県鉱山坑夫の間で始まったものが北海道に渡り、歌志内市など北海道各地の郷土料理として残っているとされる〔歌志内市ホームページ「歌志内市の郷土料理『なんこ』」 〕。また上記文献の著者自身の実体験談として、実家が秋田県で博労(牛馬の売買をする人〔Yahoo!辞書 博労 〕。馬喰とも表記する)であったことから、母親が豚の内臓を煮込んで食べた経験があるとしている〔宮塚利雄 著「日本焼肉物語」p.49-p.50〕。
中部地方のもつ煮は、豚の内臓をこんにゃくとともに八丁味噌で煮込んだ「土手煮」(単に「どて」と呼ばれる場合もある)が主流であり、関東のもつ煮込みと比較するとより味が濃く甘辛いものが多い。具材にはゆで卵が加わることもある。長野県の郷土料理には馬の腸を使った「おたぐり」がある。また山梨県には鳥もつ煮があり、「甲府鳥もつ煮」との名称でB-1グランプリに出展している。
関西地方には「北ホルモン」という語句を1937年に出願し1940年に商標登録(登録0334852)した北極星という洋食店〔特許電子図書館での検索による 〕があり、とくに小腸大腸についてはコテッチャン、テッチャンと称され、焼いて食べる調理方法がより馴染み深い。「ホルモン料理」の語源として「ほるもん(捨てるもの)」から転じたとする説があるが、佐々木道雄は著書の中でこれを再検証し否定している。〔ホルモンに関する登録に先立ち、昭和11年(1936年)に、東京芝公園日本赤十字社による「ホルモン ビタミン展覧会」が開催され、ビタミン料理、ホルモン料理の実演が行われている事実があり、あくまで医学的側面として内臓を使った料理の滋養面を強調する語句として使われていた。またそれ以前の1920年頃の話として、多田鉄之助の著書である『続たべもの日本史』に内臓以外の材料を含めてホルモン料理とする記述があることから、「牛豚の内臓=放るもん=ホルモン」はその語感による後付であるとしている(佐々木道雄 著「焼肉の文化史」p.231)。〕。
九州地方にはもつ煮よりも、博多を中心としたもつ鍋の文化の方が定着しており、にんにくをスライスした醤油ベースのスープに、キャベツニラなどを具材とした鍋として食する。
沖縄には、琉球王朝時代から豚を余すことなく工夫して食べる食文化があり、伝統料理として、中身汁(中味汁)が主として正月や慶事の代表料理として親しまれてきた。豚の小腸・大腸・胃を丁寧に洗浄し、長時間煮込むなど手間と時間をかけて下ごしらえした中身(豚の内臓)と、こんにゃくやシイタケを具にして煮込んだ一種の吸い物。具だくさんの煮物として供される場合もある。鰹節昆布鶏肉で出汁をとる場合もあり、また沖縄そばに具として入れた中身そばや炒め物など、他の料理にも応用されている。また、豚肉のみならずヤギの肉や内臓、血などをごった煮にした山羊汁や、の臓物を煮込んだ牛汁なども伝統食として知られる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「もつ煮」の詳細全文を読む



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