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数学、より詳しくは抽象代数学の一分野である環論において、環 ''R'' のジャコブソン根基あるいはヤコブソン根基()とは、すべての単純右 ''R''-加群を零化する ''R'' の元からなるイデアルである。定義において「右」の代わりに「左」としても同じイデアルが得られるので、この概念は左右対称的である。環のジャコブソン根基は頻繁に ''J''(''R'') や rad(''R'') と表記される。しかしながら、他の環の根基との混乱を避けるため、この記事では前者の表記を使うのがよいであろう。ジャコブソン根基はにちなんで名づけられた。彼は初めてそれを任意の環についてで研究した人である. 環のジャコブソン根基はたくさんの内部的な特徴づけをもっており、単位元をもたない環に対してこの概念をうまく拡張するいくつかの定義も含んでいる。加群の根基はジャコブソン根基の定義を加群を含むように拡張する。ジャコブソン根基は多くの環や加群の理論の結果、例えば中山の補題において、際立った役割を果たす。 == 直感的な議論 == 他の環の根基のように、ジャコブソン根基 は「悪い」元の集まりとして考えることができる。この場合「悪い」性質はこれらの元は環のすべての単純左・右加群を零化するということである。比較の目的のため、可換環のベキ零根基を考えよう。これはすべてのベキ零元からなる。実は任意の環について、環の中心に入っているベキ零元はジャコブソン根基にも入っている。なので、可換環については、ベキ零根基はジャコブソン根基に含まれている。 ジャコブソン根基は直感的にはベキ零根基によく似ている。悪いことの弱い、零因子であることより弱い、概念は、単位元でない(乗法について可逆でない)ことである。環のジャコブソン根基は単に単位元でないというよりも強い性質を満たす元からなる。―ある意味で、ジャコブソン根基の元は「環に内部的な」''どんな''加群においても「単位元として振る舞っ」てはならない。正確に言えば、ジャコブソン根基の元はのもとで、問題の環に内部的なすべての「右可除環」(すべての非零元がをもっているような環)の零元に射影しなければならない。簡潔に言えば、それは環のすべての極大右イデアルに属していなければならない。これらの考えはもちろん不正確だが、少なくともなぜ可換環のベキ零根基がジャコブソン根基に含まれているかを説明している。 さらに単純な方法で、環のジャコブソン根基を環の「悪い元を消す」手段として考えることができる。―つまり、ジャコブソン根基の元は商環 ''R''/''J''(''R'') において 0 として振る舞う。''N'' が可換環 ''R'' のベキ零根基であれば、商環 ''R''/''N'' はベキ零元をもたない。同様に任意の環 ''R'' に対して、商環は ''J''(''R''/''J''(''R''))= という性質をもっており、したがってジャコブソン根基におけるすべての「悪い」元は ''J''(''R'') で割ることによって取り除かれている。ジャコブソン根基やベキ零根基の元はそれゆえ 0 の一般化と見ることができる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ジャコブソン根基」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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