|
やすり(鑢、鈩、英:File )は、細かな部分の研削を行う手動工具で、寸法に合うように削ったり、材料の形状を整えたり、細かい部分の錆を落とすのに使用する。一般的な形状が棒状であることより、棒ヤスリとも呼ばれる。金属部の「目切り部」と握り部の「柄」で構成されている〔『道具のつかい方事典』2002年3月20日発行、株式会社岩崎書店。〕。 やすりの語源は、「鏃(やじり)をする」の「やする」が「ヤスリ」になった説と、ますますきれいに磨くという意味の「弥磨(いやすり)」が「ヤスリ」になった説がある〔 広島地区鈩工業組合ホームページ 〕。 なお、紙製のものは紙やすりといわれる。この紙やすりと区別するため、あえて金属やすり、金やすり(かねやすり)と呼ぶこともあるが、単にやすりと言えば元々は金属のものを指した。 海外メーカーでは、時計職人に愛用されているやすりとして、1899年創業のスイスのバローベ社(Vallorbe)がよく知られている〔松本英雄『通のツール箱』2005年6月10日発行 株式会社 二玄社〕。 == 歴史 == 長い間職人は、木または金属を加工するのに、やすりを使用してきた。やすりは、考古学者によって紀元前約2000年の物がギリシャのクレタ島で見つかっている。当時のやすりは鋼から手作りで作られ、非常に高価であった。 19世紀に鋼の大量生産が可能となり、やすりの隆起部を鋼棒に切る機械が発明(1864年にW.T.ニコルソンが特許を取得。特許登録No.42216〔US Directory of American Tool And Machinery Patents Patent: 42,216 File Cutting Machines 〕)されるまで、やすりは再度鋭くすることができないほどすり減るまで使われた。しかしこれら2つの発明によってやすりのコストが下がり、すり減ったものを目立てするよりも新しいものを買うことが多くなった。 多くの手作りのやすりは、1960年代までシェフィールド(イングランド)で製造されていた〔THOMAS DUTTON 『THE HAND TOOLS MANUAL』p175、2007年発行、TSTC Publishing ISBN 978-1-934302-36-1〕。 日本においては、5世紀後半の岡山県隨庵古墳からやすりらしき物が出土しているほか、奈良時代の宮城県東山遺跡からも発掘されている。 やすりの製造は、農村鍛冶の副業から始まり、しだいに手作りの家内工業として発達してきた。明治後半には目立機が考案され、大正初期に目立機が電動化、圧延機も開発されたことにより、量産化が可能となった。戦前までは、大阪、新潟、東京などもやすり産地であったが、戦災で衰退した〔「仁方とヤスリ」広島地区鈩工業組合 〕。広島県呉市仁方地区は戦争の被害が少なく、やすりメーカーが集まった「やすり団地」という地区があり、国内生産量の95%を生産している〔社団法人日本青年会議所 中国地区広島ブロック協議会『活気ある広島県産業を目指して-12LOM 地場産業の紹介』 、2005年、6頁。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「やすり」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 File (tool) 」があります。 スポンサード リンク
|