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ライトガスガン
ライトガスガン (light-gas gun) とは、物理実験で用いる非常に高速な飛翔体を生成するための装置であり、現在研究中の新型火砲でもある。通常は隕石などが衝突したクレーターの形成などの高速衝撃現象に用いられるほか、マスドライバーへの適用が検討されている。ライトガスとは水素やヘリウムなどの軽ガスのことである。 ==作動原理==
ライトガスガンはスプリングピストンを使ったエアソフトガンと同じ原理で動作する。大径ピストンが加速される弾丸を含む小径銃身を介して気体の作動流体を強制的に圧縮して弾丸を加速させる。直径が減少することでエネルギーを圧縮しながら速度を上げるように機能している。普通のエアガンでは大きなピストンはスプリングまたは圧縮空気によってエネルギーが供給され、作動流体は大気である。ライトガスガンでは、ピストンは火薬で作動し、作動流体はヘリウムや水素などの軽いガスである。水素ガスが最高の性能を発揮するが、安全性の問題からヘリウムガスが用いられる。 通常の火砲では、砲弾は前後の圧力差(砲身内部と大気の圧力差)によって加速される。圧力波は媒質中の音速よりも速く伝播することができないため、砲弾を加速させることができる速度は、火薬の燃焼ガス中の音速が上限になる。媒質中の音速を上げるための方法の一つとして、気体中の音速が、気体の平均分子量の平方根に反比例して大きくなるのを利用するというものがある。そこで、分子量の小さいガスを砲弾を加速させるための作動流体に使ったのがライトガスガンである。ヘリウムガスは大気の3倍、水素ガスは3.8倍の音速を持つ。ガンパウダーの燃焼ガスの平均分子量は22前後なので、同じ温度条件ではヘリウムガスは3.324、三倍の速度を達成できる計算になる。実際にはヘリウムガスは比熱容量や熱伝導率などの点でも優れているため、火薬の燃焼ガスよりも大きなエネルギーを伝播させることができ、理論上の上限は7.8倍になる。 レールガンなどの電磁砲は、理論上は投入エネルギーを大きくしていけば亜光速まで加速できる。しかしライトガスガンの場合は物理的に水素ガスより分子量の小さい物質が存在しないため、水素ガスを使用した場合の理論上の上限値が11km/sとなる。このためマスドライバーとして使用するためにはライトガスガン単体での宇宙速度の達成は困難であり、ロケットなどと組み合わせる必要がある。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ライトガスガン」の詳細全文を読む
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