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ライトバリア : ウィキペディア日本語版
メモリバリア
メモリバリア()またはメモリフェンス()とは、その前後のメモリ操作の順序性を制限するCPU命令の一種である。
CPUには、性能最適化策としてアウト・オブ・オーダー実行を行うものがあり、メモリのロード命令やストア命令を含めて順序を入れ替えて実行する。この命令の並べ替えは、ひとつのスレッドの中で一般に暗黙のうちに行われるが、マルチスレッドプログラムやデバイスドライバでは慎重に制御しない限り予測不能の動作を生じる原因となる。順序性の制限の方法はハードウェア依存であり、そのアーキテクチャによって定義される。アーキテクチャによってはいくつかのバリアを用意して、それぞれ異なった順序性制限を実現している場合がある。
メモリバリアは低レベルの機械語で使われることが多く、複数のデバイスが共有するメモリを操作するのに使われる。そのようなコードとして、同期プリミティブマルチプロセッサシステムでのロックフリーなデータ構造、何らかのハードウェア機器を制御するデバイスドライバなどがある。
==簡単な例==
プログラムが1個のCPUで動作している場合、ハードウェアは全てのメモリ操作がプログラムされた順番通りに行われたかのように見えるよう命令を実行する。従ってメモリバリアは不要である。しかし、メモリが複数の機器によって共有されている場合(マルチプロセッサシステムのCPU群や、メモリマップドI/Oなど)、アウトオブオーダー実行によってプログラムの結果が変わってしまうことがある。例えば、2番目のCPUから見て、1番目のCPUが行ったメモリ操作はプログラム上の順番と違って見えるかもしれない。
以下の2プロセッサプログラムは、アウトオブオーダー実行によってプログラムの動作が影響される具体例である。
まず、メモリ位置 x と f の値は共に 0 であるとする。プロセッサ#1 で動作するプログラムは f の値がゼロ以外になるまでループし、その後 x の値を表示する。プロセッサ#2 で動作するプログラムは x に 42 を格納してから f に 1 を格納する。擬似コードの一部を以下に示す。プログラムの各行が個々のプロセッサの命令に対応している。

プロセッサ#1:
loop:
位置 f の値をロードし、0 ならば loop へ分岐
位置 x の値を表示
プロセッサ#2:
位置 x に 42 を格納
位置 f に 1 を格納

表示されるのは常に 42 であることが期待されているが、プロセッサ#2 のストア命令がアウトオブオーダーで実行されれば、f が x の前に更新される可能性があり、"0" が表示される可能性も出てくる。多くのプログラムではこのような状況は受け入れられない。メモリバリアをプロセッサ#2の位置 f へのストア命令の前に挿入すると、他のプロセッサから見ても x が f の前に更新されているように観測されることを保証できる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「メモリバリア」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Memory barrier 」があります。



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