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ラカンドニア・スキスマティカは、メキシコに分布するホンゴウソウ科ラカンドニア属の植物である。この植物は、花の中で雄蘂と雌蕊の位置が逆転しているという、他のどの植物にも見られない特徴を持つ(ただし例外的に、本種と近縁とされる(ホンゴウソウ科)には、ごく稀にそのような花が見られる)。 ラカンドニア・スキスマティカは葉緑素を含まない腐生植物であり、メキシコチアパス州のラカンドン・ジャングルの固有種である。この植物は、非常に少数の個体群しか知られておらず、この種を調査した研究者によれば、絶滅の危機に瀕していると考えられている。 この植物は、1985年に発見されて以来20年以上の間、ラカンドニア属唯一の種であると考えられていたが、2012年に同属で別種とされる植物がブラジルで新たに発見された。 == 特徴 == ラカンドニア・スキスマティカは葉緑素を欠き、一つの根茎を持ち菌寄生生活をする小さな腐生植物である。この植物は総状花序と鱗片状の葉をつける。 この花は放射対称で、心皮、雄蘂は離生、胚珠は1。形態的にはホンゴウソウの花に似ている〔が、被子植物の典型的な花とは「逆転」した構造になっていると考えられる:すなわち、通常の植物においては、花の中心部に雌蕊(および子房)があり、雄蘂はその周囲に配置される構造になっているが、ラカンドニア・スキスマティカの花においては、通常は3(時として2または4)本の雄蘂が花の中心にあり、60〜80本の雌蕊が周囲を取り巻いている。このように雄蘂と雌蕊の位置が逆転しているという特徴は、知られている被子植物において唯一のものであり、花の形態学における常識を覆した〔。 ラカンドニア・スキスマティカの花は両性花であり、開花前に自家受精されるつぼみ受精型閉鎖花受精である 。また、花粉は3細胞性花粉粒であり、葯の内部で発芽し、花粉管は子房に到達すべく花托の中を伸長する。ラカンドニア・スキスマティカは環境が十分多湿であれば一年中開花が見られるが、特に盛んに花を付けるのは9月から10月にかけてである。〔〔 開花期前の閉鎖花授精による自家生殖のため、知られているラカンドニア・スキスマティカの個体群は遺伝的多様性に欠け、高頻度でホモ接合型を持つ。この種の染色体数はn = 9 である〔。 この花の構造に関しては、この花は真の花ではなく、蕊のみに退化した雄花と雌花がそれぞれ先端部と基部に集まっているようなタイプの花序においてその花柄が極端に短くなったもの、すなわち偽花であるという仮説に基づく説明も試みられた。しかし、近縁と考えられる他のホンゴウソウ科植物の研究などを通じて、これは真の花であることが支持された 。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラカンドニア・スキスマティカ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Lacandonia 」があります。 スポンサード リンク
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