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ラジオシティ (Radiosity) とは、3次元コンピュータグラフィックスのレンダリングにおける、グローバル・イルミネーションの計算法のひとつである。 一般に多用されているレイトレーシングのように、仮想のカメラから、そこに届く光線を求めていくという方向ではなく、光源の側から、光として発せられたエネルギーの行方を熱力学的に処理することで(エネルギー保存則)、複数の物体が光を乱反射させて、お互いを照らす効果などが計算できる。たとえば壁紙が赤いために部屋にあるものが赤く見えるといった効果がより現実的に再現できる。 この方法を用いると柔らかな陰影が表現でき、特に室内などの風景で画像の写実性が高くなる。現在では、リアルタイム描画以外の3次元グラフィックスではラジオシティを何らかの形で援用することが多い。ラジオシティ法はレイトレーシング法などのモンテカルロ法に基づいた手法と異なり、あらゆる種類の照明現象を再現することはできない。典型的なラジオシティ法は場面が拡散面によってのみ構成されていることを前提としているため、光源から放射された光が何度か拡散面によって反射されたあとで視点にいたるという現象をしか再現できない。この現象を一般的な光経路の表記法であるHeckbertの表記法により表すと「LD *E」となる。ラジオシティ法の利点として、一度計算を行っておけば、オブジェクトや照明を変更しない限り、カメラ設定を変更しても再レンダリングを容易に行えるということが挙げられ、近年はリアルタイムレンダラーでも使用例がある。 ラジオシティの基本的な手法は熱移動の研究分野で1950年に初めて提案されたものである。後の1984年にコーネル大学の研究チームがコンピュータグラフィックスによるレンダリングにこれを応用した。そのためラジオシティ法のような大域照明を行うための有名なサンプル(ユタ・ティーポットなど)にがある。また日本のコンピュータグラフィックス研究の第一人者としても知られる西田友是も、独立に全く同時期に先駆的な研究をしていたことでも有名である〔M. Cohen, J. Wallaceの "Radiosity and Realistic Image Synthesis" §1.2.3に、In 1984, researchers at Fukuyama and Hiroshima Universities in Japan and at the Program of Computer Graphics at Cornell University in the United States began to apply radiosity methods from the field of radiative heat transfer to image synthesis. とある。「福山大の研究者」とは西田友是らを指している。〕。 == 視覚的特徴 == ラジオシティ法では、実世界の現象に近い光の挙動を模しているため最終的なレンダリング結果がより現実に近いものとなる。単純な部屋のシーンを想定してみる。 左の画像は直接照明レンダリングによって得られたものである。この場面では3種類の照明現象を分けて扱うことで、より現実に近い結果を得ている。これらの照明現象はデザイナーなどにより調整されなくてはならない。3種類の照明現象とはスポット照明(窓から差し込み柱の影を作る)、環境照明(光が直接当たっていないような暗い場所を再現)、無指向性照明(環境光の一様さを低減するような成分)である。 右の画像はラジオシティ法によりレンダリングされた場面である。この場面で用いた光源は窓の外から差し込む光のみであるが、左の画像との違いが見て取れる。部屋全体が柔らかく光っており、床の影もより現実的で、間接照明による効果がよく再現されている。さらに左奥の壁は床に反射した光によってやや赤色になっており、より穏やかな印象を与えている。これらの現象は全てラジオシティ法の計算結果によるものでありデザイナーなどによる照明効果の調整などは一切行う必要がない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラジオシティ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Radiosity (computer graphics) 」があります。 スポンサード リンク
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