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ラッコの保護活動は、20世紀初頭に始まった。当時、ラッコは大規模な商業狩猟により、絶滅の危機にあった。かつてラッコは北太平洋、すなわち北日本、アラスカ、メキシコに亘って広く分布していた。1911年までの毛皮目的の狩猟により、ラッコの個体数は人間の手が届かない辺境を中心とした2000頭にまで激減した。 その後20世紀の間に、ラッコの個体数はロシア極東部、西アラスカ、カリフォルニアの生き残りから増加した。1960年代からは、かつてラッコが生息した地域への人工的移動も進められ、北アメリカ西海岸に広く分布させることに成功した。その他にも若干だが成功した地域もあり、ラッコ保護活動は、海洋生物の保護活動として最も成功した事業の1つと考えられている〔VanBlaricom, p. 53〕。 ところが近年、ラッコ生息地域として重要な2箇所で、ラッコの個体数の増加が止まり、あるいは減少が起こっている。アリューシャン列島ではここ数十年間で、大きく減少している。その原因は不明確であるが、ラッコ頭数の変化は、捕食者であるシャチ頭数の増加と傾向が似ている。1990年代、カリフォルニアでは、アラスカとは別の原因で増加が止まった。ラッコの成獣の伝染病罹患率が高まったためである。カリフォルニアのラッコがなぜ病気にかかりやすいのかは分かっていない。その他、ラッコは石油流出による汚染にも非常に弱く、その被害も報告されている。国際自然保護連合(IUCN)は、ラッコを絶滅危惧種に指定している。 ==背景== ラッコ (''Enhydra lutris'') は北太平洋沿岸、すなわち北日本、千島列島、カムチャッカ半島東部、アリューシャン列島、北アメリカ、メキシコに亘って生息する海洋哺乳類である。動物界の中では最も厚い毛皮を持つ。1741年から1911年の間、毛皮採取を目的としたラッコの捕獲が大流行し(「大いなる狩猟、Great Hunt」と呼ばれる)、この期間に全世界の個体数が1,000 - 2,000に激減した。それ以後、先住民による限定的な狩猟を除いて、商業狩猟のほとんどが禁止された。 ラッコは、ウニ、軟体動物、甲殻類、数種類の魚類を捕食する。ラッコは、その大きさに比べて活動範囲が狭いため、エサとして欠かせない種が存在する。具体的にはウニ類である。ウニは海草の森を食い荒らし、沿岸侵食の原因となっている。ラッコは生態学的にこれを防ぐ役割を担っており、さらにはその愛らしさと行動の面白さのため、人々の間で種を保護し、生息範囲を拡大する努力がなされてきた。ただし、ラッコは、人間にとっても重要なアワビ、カニ、ハマグリといった魚介類も捕食する。そのため、漁業団体、レクレーション団体、海岸で自給する人々から、ラッコ保護活動に対する反対運動が起こることもあり、漁師の中には法を犯してラッコを殺すこともあった〔Nickerson, pp. 47-48〕 。 ラッコの分布地域は、現在の所、不連続である。オレゴン州や北カリフォルニアなどの地域には生息していない。メキシコや北日本ではしばしば目撃されるようになってきている。ラッコは人工飼育が可能なため、40以上の公共水族館や動物園で人気を集めている〔VanBlaricom p. 69〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラッコの保護活動」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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