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ラミニン : ウィキペディア日本語版
ラミニン
ラミニン()は、細胞外マトリックス基底膜を構成する巨大なタンパク質である。多細胞体制・組織構築とその維持、細胞接着、細胞移動、細胞増殖を促進し、がん細胞と関係が深い。胚発生の初期(2細胞期)に発現する。
== 発見 ==
基底膜の構成分子は、今では、IV型コラーゲンプロテオグリカン、ラミニンが3大構成分子であることがわかっているが、歴史的にみると、なかなかわからなかった。というのは、形態学的な手法(光学顕微鏡電子顕微鏡)で、基底膜の存在は確認されていたが、組織中の含有量が少なく、酵素活性の指標もなく、薄膜のため形状を指標に精製することが難しかったのである。そのため、生化学的に分析できるほどの量を単離精製することができなかった。
1977年、米国・NIHの国立歯科・頭蓋顔面研究所のジョージ・マーチン(G.R. Martin)らが端緒をつかんだ。マウス皮下に移植可能なEHS肉腫(イーエイチエスと読む。Engelbreth-Holm-Swarm sarcoma)が、大量に基底膜成分を合成する珍しい肉腫であることを見つけたのだ。マウス1匹あたり、湿重量で5~15gのEHS肉腫が得られる。後でわかることだが、ラミニン精製のためなら、凍結保存もできた。
1979年、ドイツのマックス・プランク生化学研究所のルパート・ティンプル(Rupert Timpl 〔https://de.wikipedia.org/wiki/Rupert_Timpl〕)は、マーチンと共同で、このEHS肉腫から新しいタンパク質を精製し、基底膜の1つの層・ベーサルラミナ (basal lamina、基底板) の「lamina」にちなみ、ラミニン(laminin)と命名した。
なお、基底膜(basement membrane)という名称は、英語圏で定義が少し混乱している。それで、ウィキペディア日本語版でも混乱している。ここでは、ウィキペディア英語版の「basement membrane」の「基底膜は、ベーサル・ラミナ(基底板)とレティキュラ・ラミナ(線維細網板)の2層からなる」を採用する。レティキュラ・ラミナの成分は主にI型やV型コラーゲンである。
ベーサル・ラミナ(基底板)は、さらに、電子顕微鏡で観察される透明板(lamina lucida、ラミナ・ルシダ)と、緻密板(lamina densa、ラミナ・デンサ)の2層からできていて、ラミニンは透明板の領域に存在すると推定される。なお、IV型コラーゲンとプロテオグリカンは緻密板の領域に存在すると推定される。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ラミニン」の詳細全文を読む



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