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ラムトンのワーム〔シューカー (1999) ではラムトン長虫(ワーム)、松平 (2005) ではランプトンのワーム、美濃部 (1998a) ではランプトンの龍。〕(Lambton Worm)は、イギリスの竜伝承である。AT分類300(竜退治説話類型)に属する〔美濃部 (1998b)、135頁。〕。この伝承はワームの伝承を代表する有名なものの一つである〔松平 (2005)、231頁。〕。なお、この伝承を元にしたオペラも制作され、映画化もされた。 == 伝承 == ラムトン (Lambton) 家の跡取りは、日曜日もミサに行かず安息日を守らず釣りばかりしていた。ある日で、口の両側に9つの孔があるワームを釣ってしまった。見知らぬ老人が通りかかり、それを川に戻さないようにと忠言したが、跡取りは恐ろしさのあまり近くの井戸にワームを投げ捨ててしまった。その井戸はワームウェル(竜の井戸)と呼ばれるようになった〔美濃部 (1998a)、125頁。〕〔シューカー (1999)、8-10頁。〕〔。 ワームは成長し、井戸に入りきらないほど大きくなると、丘に出て家畜を貪り食った。そこは今でもワームヒル(ワームの丘)と言われている。この状況を見た跡取りは、責任を感じ、自分の今までの行いの贖罪のため、聖地の巡礼に出た。その間にもワームは成長し、とうとう人々に牛9頭分のミルクを要求するようになった。要求が叶えられないと暴れるこのワームを殺すためさまざまな方法を試みたがことごとく失敗した〔美濃部 (1998a)、126頁。〕〔シューカー (1999)、10-12頁。〕〔。 7年後に跡取りが旅から戻ると、故郷はワームによってさらに荒れ果てていた。そこで跡取りはブルージーフォードの賢女に助言を求めた。賢女は「鍛冶屋に、槍の先を埋め込んだ鎧を作ってもらい、ウィア川のワームズロック(ワームの岩)で迎え撃つように」と言った。また、受けた傷はすぐに修復してしまうワームなので、賢女はワーム退治の極意も教えた。しかし、教える代償として賢女は「ワームを倒した後、自分の屋敷に帰った時に最初に出迎えた人を必ず殺す」事を要求した。しかも「誓いを破ればラムトン家の者は9代の間ベッドの上で死ぬことはできない」という。跡取りはこの件を了承して賢女に誓いを立てた上でワーム退治の極意を教わり、死闘の末にウィア川でワームを退治した〔美濃部 (1998a)、126-127頁。〕〔シューカー (1999)、12-13頁。〕〔。 戦いを終えた跡取りは、合図のラッパを3度吹いた。ラッパは「退治成功」という意味であると同時に、跡取りの猟犬ボリスを解き放つ合図でもあった。しかし、跡取りの無事を喜ぶあまり、館の一同は猟犬を解き放つのを忘れた。館に帰ってきた跡取りを真っ先に迎えたのは父だった。父を殺すわけにはいかず、跡取りはラッパをもう1度鳴らし、解き放たれて駆け寄ってきた猟犬を殺したが、すでに誓いは破られた。以後9代にわたって、ランプトン家の者はベッドの上で死ぬことが出来なかったという〔美濃部 (1998a)、127-128頁。〕〔シューカー (1999)、13頁。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラムトンのワーム」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Lambton Worm 」があります。 スポンサード リンク
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