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ラーセン棚氷(Larsen Ice Shelf)は、南極半島東岸にある棚氷。ウェッデル海の北西部にあたり、ロンギング岬(Cape Longing)からハースト島(Hearst Island)の南までの間に広がっている。ラルセン棚氷ともよばれる。 名称は、1893年に氷に沿って南緯68度10分の地点まで航海したノルウェーの捕鯨船船長カール・アントン・ラーセン(Carl Anton Larsen)に因んでいる。〔 USGS GNIS: Larsen Ice Shelf 〕 == 構成と変化 == ラーセン棚氷は3つに分けられる。北から南に向かってラーセンA、ラーセンB、ラーセンCと呼ばれている。 ラーセンA棚氷は2000年以上前から存在していたと推定されているが、1995年1月に崩壊した。7年後の2002年2月には、12000年もの歴史を持つと思われる〔Press Release (2005) "Ice Shelf disintigration threatens environment, Queen's study" Queens University, Kingston, Ontario, online 〕ラーセンB棚氷も崩壊し、2002年だけで3275平方キロメートルの面積を有する720立方キロメートルもの氷が失われた〔Hulbe, Christina (2002) "Larsen Ice Shelf 2002, warmest summer on record leads to disintegration" (Portland State University) 〕。 通常こうした棚氷は端から小さな氷山が徐々に分離して融解するが、ラーセンA、Bの崩壊では膨大な範囲の氷が多数の小片となって分解し、短期間のうちに消滅した点で異常とされる〔。崩壊前には、棚氷の下が暖かい海流で削られていくのが確認されている〔Pearce, Fred (2006) ''The Last Generation: How Nature Will Take Her Revenge for Climate Change,'' Eden Project Books, p. 92〕。崩壊は、わずか3週間ほどで終わった。この際には融けた水が大きな役割を果たし、表面付近で夏の日差しに照らされて池を形成したのち、隙間を通って氷の中へ流れ落ち、楔のように氷を破壊したと考えられている〔Larsen B Ice Shelf Collapses in Antarctica 〕〔Antarctic Ice Shelf Collapse Triggered By Warmer Summers Office of News Services, University of Colorado at Boulder, Jan. 16, 2001〕。 南極半島では1940年代以降10年に0.5℃の割合で気温が上昇しており、ラーセン棚氷の崩壊にも南極半島での地球温暖化が影響していると考えられている〔Connor, Steve (2005) "Ice shelf collapse was biggest for 10,000 years since Ice Age" ''The Independent,'' London (Aug 4), online 〕。 ラーセンC棚氷はいまのところは安定しているように見える〔Riedl C, Rott H, Rack W (2004) "Recent Variations of Larsen Ice Shelf, Antarctic Peninsula, Observed by Envisat" ''Proceedings of the 2004 Envisat & ERS Symposium'', Salzburg, Austria, online 〕が、地球温暖化の進行により、今後10年以内にこれも崩壊するだろうと言われている〔Rignot, Eric (2007) "Mass Balance and Ice Dynamics of Antarctic Peninsula Glaciers for IPY2007-2008" Proposal #359, International Polar Year Expression of Intent, online 〕。そのとき、1893年にラーセン一行が見た巨大な棚氷は、それからわずか1世紀ほどで消滅することになる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラーセン棚氷」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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