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ラーニング・コモンズ(Learning commons)とは、学生の学習支援を意図して大学図書館に設けられた場所や施設。具体的には、情報通信環境が整い、自習やグループ学習用の家具や設備が用意され、相談係がいる開放的な学習空間を言う。飲食コーナーが敷設されていたり、図書館外に設置されたりしている例もある〔図書館情報学用語辞典. 日本図書館情報学用語辞典編集委員会編. 丸善, 第四版, 2013, p.296〕。 ==歴史と発展== ラーニング・コモンズは、それらがまだよくインフォメーション・コモンズと呼ばれていた1990年代から、アメリカなどいろんな国の大学図書館で発展してきている。2つの早い例がアイオワ大学のInformation Arcade(1992)と南カリフォルニア大学のインフォメーション・コモンズ(1994)であった。1999年にDonald Beagleはその存在を「大学図書館のサービス提供の新しいモデル」と述べ、サービスの目的が情報検索から知識の創造までのサービスを提供していることにそのモデルの特徴があるという考えを提起した。よく「ワンストップショッピング」と呼ばれているこの取り組みは、促進されていく可能性があるとBeagleは述べている。これはIT企業のプランニングを応用した戦略的な位置取りやマネジメントの方法を応用したものである〔WIKIPEDIA. “LEARNING COMMONS”. https://en.wikipedia.org/wiki/Learning_commons. (2015/09/24にアクセス)〕。 2004年には、ラーニング・コモンズという用語が多く使われるようになっている。2004年は、南カリフォルニア大学が「インフォメーション・コモンズ:教室を越える学習スペース」というタイトルの全米会議を開催した年である。この会議でBeagleは”From Information Commons to Learning Commons”という報告で発展的な枠組みを示した。それは教育に関するアメリカでの会議で示された変化の類型学に基づいている。報告書ではインフォメーション・コモンズを図書館中心のものとして定義している。インターネットへのアクセスポイントの集合体であり、学習支援の一部として、物理的、仮想的、社会的な文脈でITツールが関連づけられている2)。 ラーニング・コモンズは、大学図書館の学習支援空間として見たとき、インフォメーション・コモンズよりもさらに前にさかのぼることが可能である。北米の大学図書館の学習支援空間の最初はインフォメーション・コモンズやラーニング・コモンズではなく、学習図書館である。学習図書館とは、主として学部学生を対象とした図書のコレクションや人的サービスを提供する学習支援空間である。1950年代より発展したが、財政難等を理由に衰退した。 ただ、学習支援空間へのニーズがなくなったわけではなく、ICTの急激な発達とともに新しい学習支援空間が生まれた。それが1990年代に生まれたインフォメーション・コモンズである。20世紀後半は高等教育機関の厳しい財政状況や学生の多様化があり、高等教育の実質化と評価の流れが加速した時でもある。学生の学習成果を実質的に担保するために改めて大学図書館の学習支援空間の重要性が再評価された2)。 インフォメーション・コモンズは学習教授理論の転換を受けて発展する。学習教授理論は知識の伝達を焦点とした伝統的学習モデルから、情報を解釈し知識を創造する構成主義的学習モデルへと変わってきている。大学図書館に求められるものも当然変わり、共同学習の行えるような空間も求められるようになった。インフォメーション・コモンズは学習支援により特化されるようになり、ラーニング・コモンズが誕生した〔呑海沙織, 溝上智恵子. 大学図書館における学習支援空間の変化‐北米の大学図書館からラーニング・コモンズへ‐. 世界のラーニング・コモンズ:大学教育と「学び」の空間モデル. 樹村房, 2015.3, pp.60-86〕。 ラーニング・コモンズはずっと同じものとしてあるわけではない。1990年代の後半に誕生してから、何百ものラーニング・コモンズが、ウェブ2.0テクノロジーと図書館や図書館員の役割の絶え間ない進化に反応して、発展し変わってきている。ブログやソーシャルネットワーキングサイト、動画共有サイト、ウェブアプリケーションのようなウェブ2.0テクノロジーは情報の交換や入手の方法に劇的な影響を与えている。ラーニング・コモンズはこれらのテクノロジーを考慮にいれて、新しい2.0の利用者や学生にできる限り最良のサービスを提供しようとするなかで取り組まれているものと位置づけられる2)。 高等教育機関が図書館の中で様々なサービスを提供しようとするのには、2つの主要な理由がある。1つ目の理由は、インターネットのサービスで迅速に利用できるデジタル資源と比較して、学生たちにほとんど利用されることのない印刷体資料を保存するために使用される場所の削減である。ラーニング・コモンズ進展の2つ目の理由は、大学図書館が今のところ確保できているキャンパス内の立地がいいことである。冊子体の蔵書を取り除くことによって、スペースを使えるようにしてきている図書館が多くある。他のサービス部門と協力することで、相乗的にサービスが学生の支援の中で発展していくことができる2)。 ラーニング・コモンズは発展していくうちに、もはや図書館のみで運営されるものではなくなってきた。「インフォメーション・コモンズの資源は他の学教育・研究に関わる部署によって支えられている学習戦略と協働している。もしくは、協働プロセスを通じて定義された学習成果と結びつく」ようになってきている。これらの定義は、イェール大学の図書館員であるScott Benettによって、後に採用され詳しく述べられている2)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラーニング・コモンズ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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