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ラーモア反磁性( - はんじせい、Larmor diamagnetism)とは反磁性のひとつであり、古典的には原子に磁場をかけたときに、電子がレンツの法則に従い原子核のまわりでラーモア運動とよばれるサイクロトロン運動をする(より正確には、元の軌道半径は変わらずに角周波数が増える)ことによって生じる反磁性である。1905年にポール・ランジュバンによって理論的に求められた〔''Sur la théorie du magnétisme'' P. Langevin (1905)(仏語) 〕。このような電子の運動はジョセフ・ラーモアにより研究されたため、ラーモア反磁性とよばれる。また、理論により求めたランジュバンより、ランジュバンの反磁性と呼ばれることもある。 ラーモア反磁性の大きさは、温度に依存しない。また、原子番号が大きい元素では反磁性が大きくなる。更に、電子の軌道半径に依存するため、かつては磁化率の値から原子の大きさを求めるために利用されていた。 希ガス原子やイオン芯 (ion core) などでは、電子軌道が閉殻となっており、その結果反磁性を示す。これは閉殻電子では軌道角運動量の和やスピン角運動量の和がゼロとなっており、よってラーモア反磁性よりも強いスピンや軌道角運動量による磁気モーメントが消え、ラーモア反磁性の効果が残るためである。この反磁性は特に閉殻の反磁性、イオン芯の反磁性、コアの反磁性などとよばれることがある。 古典論で厳密な計算をすると、ラーモア反磁性はランジュバンの常磁性項と打ち消しあって消える。また、古典論では磁性を説明することができず(ボーア=ファン・リューエンの定理)、量子論が必要不可欠である。 == 古典論による導出 == ラーモアの定理による角周波数(ラーモア周波数)は以下である。 ここでは電子のもつ電荷、は磁場、は電子の質量である。 電子個がラーモア運動をすると、以下の円電流が流れているとみなせる。 よって球対象な電荷分布の原子を考えると、原子番号の原子(=電子個)が生み出す磁気モーメントは以下となる。 ここではに平行な原子核を貫く軸からの電子の円運動の平均二乗半径である。 以上より、全磁化は となり、磁化率が求まる。 ここでは原子数である。 電子の軌道半径の2乗平均を用いて表すと以下となる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラーモア反磁性」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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