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リース空間 : ウィキペディア日本語版
リース空間[りーすくうかん]
数学におけるリース空間(リースくうかん、)、線型束空間あるいは束線型空間 、またはベクトル束 〔微分幾何学等で扱われるベクトル束 (vector bundle) とは異なることに注意。〕 とは、順序構造を成す順序線型空間のことである。リース空間の名はリース・フリジェシュの論文 に因む。
リース空間の概念は測度論において重要で、ラドン-ニコディムの定理フロイデンタールのスペクトル定理の特別な場合であるといったように、測度論における主要な結果はリース空間における結果として一般化して定式化できる。
== 定義 ==
実数体 R 上のベクトル空間 (''X'', +, •) 上に半順序関係 "≤" が定義されているとき、組 (''X'', +, •, ≤) がリース空間またはベクトル束であるとは、''f'', ''g'', ''h'' などは ''X'' の任意の元として
# ''f'' ≤ ''g'' ならば ''f'' + ''h'' ≤ ''g'' + ''h'' が成り立つ。
# ≤ ''a'' ∈ R かつ ''f'' ≤ ''g'' ならば ''af'' ≤ ''ag'' が成り立つ。
# (''X'', ≤) は順序集合として束を成す
なる公理を満たすときに言う。演算や順序が明らかで誤解の虞のない場合、通例の如く台集合と同じ記号を用いてベクトル束 ''X'' とか ''X'' はベクトル束であるなどという。また、2. の条件で R 上の順序も ''X'' 上の順序も同じ ≤ で記してあるが、どの空間上の順序関係であるかは文脈から明らかであろうから、区別のための添字などは省略してある。
最初のふたつの条件は (''X'', +, •, ≤) が順序線型空間となることを言うものである。2. の条件は
: ≤ ''a'' ∈ R かつ 0 ≤ ''f'' ならば 0 ≤ ''af'' が成り立つ。
に取り替えてもよい。束演算 "∧", "∨" を通例の如く定める(束論参照)ならば、これらと線型演算 "+", "•" との間に特定の関係 (clamp-rule) が成立する。
ベクトル束 ''X'' の元 ''p'' が あるいは非負 であるとは、0 ≤ ''p'' となることをいう。''X'' の正の元全体 ''X''+ はしばしば正錐 と呼ばれる。各元 ''f'' に対して、|''f''| := ''f'' ∨ (−''f'') を ''f'' の絶対値 と呼ぶ。また、''f''+ := 0 ∨ ''f'' を ''f'' の正の成分 といい、''f'' := 0 ∨ (−''f'') を ''f'' の負の成分 と呼ぶ。任意の ''f'' に対して、''f''+, ''f'' はともに正の元で、''f'' = ''f''+ − ''f'', |''f''| = ''f''+ + ''f'' を満たす。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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