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ルサルカは還らない : ウィキペディア日本語版
ルサルカは還らない[るさるかはかえらない]

ルサルカは還らない』(ルサルカはかえらない)は、御厨さと美による日本漫画作品。『MANGAオールマン』(集英社)において、1996年から1998年まで掲載され、SCオールマンより全5巻が刊行された。
ソ連崩壊後の国際情勢を、SF的装置を取り入れて描いたスパイアクション。IMF体制の内幕を暴露するなど現実の国際政治に対する分析は詳細であり、日本の外交・安全保障などについての著者の主張が強く打ち出される面もある。
長いブランクの後に発表された作品である。発表の14年前に構想を得た時には、小説として執筆される予定だったが、国際政治の裏側側面に触れすぎたきらいもあり集英社側の配慮か小説化の予定は実現せず、また御厨さと美もこの作品後は大阪の不動産業界で働く女性を主人公にしたなんぼやねんを執筆したのみで、現在活動は停止、再び長いブランク状態に戻っている。
== あらすじ ==
日本国内で駐留米軍に反対するデモが繰り返され、米大統領はアジアでの情報収集の為に直属の秘密情報部隊「チーム・アイス」をスタートさせた。麻薬捜査官タカシ・カシイはチーム・アイス第7班に抜擢され、東京で集まった仲間たちとロシア北朝鮮国境地帯に潜入するが、実はそこにこそチーム・アイスの本当の目的があった。カシイ・諏訪・ヘラン・トミタの4人は、ロシアの反体制秘密組織の中心であるイオシフ少将・その参謀スミノフと面会し、CIAの最高度機密である究極のマインドコントロール薬「イトーフィン」のサンプルを渡される。さらに、気象コントロール衛星ルサルカにより温暖化させたシベリアを基盤に、新国家を建設する計画を聞かされる。その計画は、世界的な異常気象と政治混迷を引き起こすものであった。イオシフはアメリカの秘密をネタに、世界再編プランへの協力を要求してきたのだ。異常気象は既に世界各地で起き始めていた。
東京に戻ったカシイ達は任務を解かれ、一切の口外を禁止された。やがて第7班のメンバーが次々と暗殺される。チーム・アイスを支援してきた日本の秘密諜報機関「ツクスマ」も何者かから攻撃を受ける。「ツクスマ」は、カシイ・ジェニファ・ヘランらチーム・アイスの残党を加えて新部隊を編成する。ロシアに再潜入したカシイ達は、伝説の女スナイパーであるレッド・フレアを仲間に加え、ルサルカ計画に立ち向かってゆく。
40年前のソ連でアンドロポフ元帥は、氷河期の到来からソ連を救う為にルサルカを開発した。ルサルカとは、広大な翼を持つ発電衛星マイクロ波に変換されたエネルギーを地球に照射する照射衛星ネグリンカとの2個1組のシステムであり、使い方によっては核兵器を超えた究極の兵器とも成り得る物である。精密に制御されたマイクロ波の照射により、コンピュータや電子機器は無効化され、任意の一帯を焼き払う事も出来る。
ルサルカ計画を引き継いだイオシフは「第七教団派」と手を結び、巨大な資金と兵力を得てルサルカ計画を始動させる。第七教団派は狂信的な白人至上主義者たちの集団であり、CIAを始め多くの米政府機関に深く浸透していた。イオシフはイトーフィンを大量生産して、中国の曹将軍・北朝鮮の孫中将と結び、アジアに政変をもたらそうとする。やがて曹将軍の死をきっかけに中国で大規模な内乱が起こり、戦乱は周辺国に拡大してゆく。イオシフらは中国領深くまで伸びるナホトカの地下軍用道路から侵攻して、長春の中国軍核ミサイル基地を奪取しようとする。さらに別働隊数万人を北朝鮮の平壌へ侵攻させ、呼応した朝鮮人民軍がペク書記に中国侵攻を迫るという計画だった。
「第二次朝鮮動乱」が始まり、新国家「ノービィミール(新世界)ロシア連邦」の樹立が宣言された。ワシントンでは大統領が第七教団派に屈し、人事は一新され、ノービィミールの承認・中国分断計画の発動へと進んでゆく。北朝鮮でも軍部が指導権を握りイオシフと手を組み、戦禍は日本にまで及ぼうとしていた。その一方で、激しい戦いの末に地下軍用道路の爆破に成功したカシイ達は、中国領のルサルカ管制センターでスミノフを倒し、戦乱の続く平壌に潜入していた。
北朝鮮から日本へ60万人の難民が漂着し、日本政府の対応は混乱する。自衛隊安保条約に基づいて米軍の指揮下に入ったが、首相はアメリカとの同盟関係の解消を決意する。その一方でCIAは、強力な陸軍情報部隊500MIを動かして「ツクスマ」とチーム・アイスの抹殺を図る。カシイ達は、殺されようとしていたペク書記を奪取し、証言者として同行しようとする。500MIの追撃を辛くも切り抜けたカシイ達は、日本を経由してワシントンへ向かう。ワシントンでは、元国務長官・元FBI長官らが、ペク書記受け入れの準備を進めていた。そしてルサルカ計画は阻止され世界は平和に戻り、チーム・アイスの面々は新たな未来に向けて歩み始めた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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