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ルックダウン能力とは、レーダーシステムの持つ一つの能力を示す用語である。これはレーダーで水平線より下を捜索するときに、移動中の空中標的の探知、追尾を行い、自身の兵装を誘導可能な場合に言われる能力である。この項目では関連の強いシュートダウン能力についても解説する。 == 概念 == 機上レーダーの遭遇した技術上の問題とは、レーダーを地表へと指向し「見下ろした」際に、地形から反射されるような膨大な反射波に直面しつつも、レーダーへの小さな反射波、例としては航空機や標的のようなそれを継続的に識別することだった。地表はレーダーの発射する波を強く反射する。このとき標的はレーダーの発射波を継続的に弱く反射しており、レーダー画面上に混乱したクラッターを引き起こす。こうした、増幅された地表のクラッターから、低空飛行する航空機のレーダー図像を分離するのは困難であるか不可能である。 可視光線による観測、すなわち肉眼であれば、地表面と対象物を色と明るさで区分できる。しかしレーダーに用いる電磁波は可視光線よりも波長が長いため、色と明るさの異なる物体を関知するほどの分解能が無い。くわえて地表面における膨大な電磁波の反射は、肉眼に喩えれば、光の反射が多く眩しくて正視できない状況と似るといえる。 機上レーダーが、こうした問題を避ける唯一の方法は地表へレーダーを指向しないことである。しかしこれはレーダーから隠れうる、水平線の付近と水平線よりも下方における脆弱(ぜいじゃく)な範囲を作り出す。 1980年代になるとパルス・ドップラー・レーダーの使用と、周波数領域の信号処理と時間領域の信号処理技術を組み合わせることで、こうした脆弱さを取り除く方法が確立した。つまり、地表面と地表近くを飛行する対象物は速度が異なるため、ドップラー効果により反射されたレーダー波の波長が異なり、その異なる波長の反射波のみを抽出するのである。肉眼に喩えれば、特定の色のついたサングラスを装着する事で眩しさを防ぎ、かつサングラスと異なる色の光のみを関知する方法と似ると言える。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ルックダウン能力」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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