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ルーシ王 : ウィキペディア日本語版
ルーシ王

ルーシ王()とは、1253年に、ガーリチ・ヴォルィーニ公国クニャージであったダニールに、ローマ教皇インノケンティウス4世が与えた称号である〔黒川祐次 『物語ウクライナの歴史』 中央公論新社、2002年。p55〕。
ダニールの統治期は、モンゴルのルーシ侵攻の後にルーシに出現したジョチ・ウルスへの対応を迫られる時期にあり、ダニールはハンガリー王国ポーランド王国、あるいはローマ教皇等のカトリック圏の諸政権との接触をも画策していた。ルーシ王の称号の下賜は、そのようなダニールの外交政策の結果によるものである。
ダニール以降では彼の孫であり、ガーリチ・ヴォルィーニ公国の統治者となったユーリーもまたルーシ王の称号を名乗った。ユーリーの印章の表面には「Rex Russiae(ルーシ王)」、裏面には「Dux Ladimiriae(ウラジーミル公)」を意味する文字が刻まれている。その後継者であるユーリーの子のアンドレイレフ、さらにその甥であり、マゾフシェ・ピャスト家出身のボレスワフもルーシ王を名乗った〔Соловьев А. В. Великая, Малая и Белая Русь (рус.) // Из истории русской культуры / Сост. А. Ф. Литвина, Ф. Б. Успенский. — М.: Языки славянской культуры, 2002. — Т. 2, вып. 1. — С. 484—485.〕。
1349年にポーランド王カジミェシュ3世が、ガーリチ・ヴォルィーニ公国領のうちのガーリチ公国領(ガリツィア)を自領に加えた際に、ルーシ王の称号はカジミェシュ3世のものとなった〔Ісаєвич Я. Д. Королевство Русь // Енциклопедія історії України / Редкол.: В. А. Смолій (голова) та ін. НАН України. Інститут історії України.. — К.: Наукова думка, 2008. — Т. 5: Кон—Кю. — С. 568.〕。カジミェシュはこの「ルーシ王国」用の貨幣を鋳造している〔Крижанівський А. Хронологія діяльності Львівського монетного двору XIV–XV ст (укр.) // До джерел на пошану Олега Купчинського з нагоди його 70-річчя. — К. ; Л., 2004. — С. 667.〕。なお、14世紀半ばにおけるルーシ王国という概念はガーリチ(ガリツィア)地方を指すものであり、ヴォルィーニ(ロドメリア)地方はその範疇に含まなかった〔Ісаєвич Я. Д. До історії титулатури володарів у Східній Європі // Княжа доба: історія і культура. — Львів: Інститут українознавства ім. І. Крип'якевича НАН України, 2008. — Вип. 2. — С. 19.〕。
==脚注==
注釈
出典


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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