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ロック・ミュージカル : ウィキペディア日本語版
ロック・ミュージカル
ロック・ミュージカルrock musical)とは、ロック (音楽)を伴うミュージカルのことである。このジャンルは、ロックを語るうえで、コンセプト・アルバムなどと重なるかも知れないし、コンセプト・アルバムから生まれたロック・ミュージカルもいくつかある。ロック・ミュージカルの代表的な作品は、『ヘアー』、『グリース』、『レント』がある。ザ・フーの『トミー』など、ロック・オペラと呼ばれる作品がミュージカルとして舞台化される場合もある。
==歴史==
ロック・ミュージカルがミュージカルの重要なジャンルとなったのは、1960年代後半の『ヘアー』のヒット以降である。反戦・フリーラヴ・ヒッピーがテーマで、ヌード・シーンも登場する、「The American Tribal Love-Rock Musical」という副題がつけられた『ヘアー』は、1967年、ジョセフ・パップ・パブリック・シアターで初演され、1968年4月にブロードウェイに進出した〔Kenrick, John, "Rock: 'The Age of Aquarius'" article at the Musicals101 website 〕。同じ1968年ウィリアム・シェイクスピアの『十二夜』の性別を入れ替えた『ユア・オウン・シング』もスタートした。
ところで、ロック・ミュージカルにヒントを与えた最初のミュージカルは1957年の『ジーグフェルド・フォーリーズ』の最終版だと言われる〔Wollman, Elizabeth Lara, ''The Theatre Will Rock: A History of the Rock Musical from Hair to Hedwig'' (University of Michigan Press, 2006), p.14〕。その中に、『The Juvenile Delinquent(非行少年)』という1曲のロックンロール・ナンバーがフィーチャーされていたのだ。この曲を歌ったのは当時50歳のビリー・デ・ウルフだった。続いて、ロック・ミュージカルの先駆けになった作品に『バイ・バイ・バーディー』(1960年)がある〔『バイ・バイ・バーディ』の映画版に出演していたアン=マーグレットが、後に『トミー』の映画版に出演したのは、偶然の一致ではない。〕。その後、ブロードウェイにロックンロールが戻ってくるまで、7年待たねばならなかったが、ロックをミュージカルに取り込む、これら初期の試みが、『ヘアー』にはじまるロック・ミュージカルの道を切り開いたと言えるだろう〔Everett, William A. and Paul R. Laird, ''The Cambridge Companion to the Musical'' (2002) Cambridge University Press, pp. 231-33 ISBN 0521796393.〕。
アンドルー・ロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞の『ジーザス・クライスト・スーパースター』は、元々はミュージカルではなくコンセプト・アルバムとして、1970年に発表された。この作品はしばしばロック・オペラにカテゴライズされることもある。アルバムの売り上げで、1971年に舞台化された〔Kenrick, John, "The 1970s: Part I - Rock Musicals" article at the Musicals101 website 〕。ミュージカル『ゴッドスペル:en:Godspell)』(1970年)も宗教的テーマを扱って(『ジーザス・クライスト・スーパースター』のような論争を起こすほどのものではなかったが)、ポップ/ロックの影響もあった。
1970年代を通して、ロック・ミュージカルは発展を続け、人気も獲得していった。この時期に発表されたのは、『グリース』、『ピピン』、『ロッキー・ホラー・ショー』などである。劇的かつエモーショナルなテーマを持ちながら、会話がいっさいないもの、あるいはオペラを思い起こさせるものもあったが、それはロック・オペラと呼ぶべきかも知れない。さらにロック・ミューカルは別の方向にも広がっていった。たとえば、『ザ・ウィズ』、『レイズン(干しぶどう)』、『ドリームガールズ』、『パーリー/Purlie』などはリズム・アンド・ブルースソウルミュージックの影響が色濃いし、『マンマ・ミーア!』や『ジャージー・ボーイズ』といった既成の曲をフィーチャーしたジュークボックス・ミュージカルも現れた。
しかし、1980年代になって、ロック・ミュージックは下火になってゆく。そんな中、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1982年)、『チェス』(1986年)が健闘したが、観客の嗜好は、ノスタルジックな出し物同様、『レ・ミゼラブル』、『オペラ座の怪人』といった、いかにもヨーロッパ的なスコアの作品に向かっていく。
1990年代になって、ようやくロック・ミュージカルはルネサンスを成し遂げる。その功績は少なからず、ジョナサン・ラーソン作のトニー賞ピューリッツァー賞受賞作『レント』(1996年)の成功に負っている。続いて『バットボーイ』(1997年)や、性転換ロック・シンガーが主人公のジョン・キャメロン・ミッチェル作『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(1998年)といった、オフ・ブロードウェイのロック・ミュージカルが登場した.〔Brasor, Philip, "A thumbnail history of the rock musical, March 9, 2006 〕。
そして、1990年代後期から2000年代にかけて、ロック・ミュージカルは復活を遂げた。エルトン・ジョン作曲の『アイーダ』(1998年2000年)、『Lestat(吸血鬼レスタト)』(2006年)や、スティーヴン・シュワルツの『ウィケッド(ウィキッド)』(2003年)が、ロック・ナンバーを交えたジュークボックス・ミュージカル同様に当たっている。最も新しいところでは、ダンカン・シークの2007年トニー賞受賞作『Spring Awakening(春のめざめ)』、2009年トニー賞楽曲賞・主演女優賞ほか三部門を受賞した『Next to Normal(en)』、グリーン・デイの同名アルバムを元に製作された『American Idiot(en)』(2010年)がある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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