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ロベルト・マンガベイラ・アンガー(1947年3月24日 - )は、哲学者、社会理論家、政治活動家である。彼の著作は,哲学・社会理論・法理論・政治理論・経済理論など人文社会科学のあらゆる領域を覆う。それらは,人間こそが社会の創造主であるというモダニズムの徹底化の先にある,人類・個人のより善き生の姿を明らかにしようとするものである。“偽の必然性(false necessity)”を中心概念とする社会(変革)理論と“エンパワード・デモクラシー(empowered democracy)”の名で呼ばれる社会像(social vision)は,「大きな物語の終焉」が語られる昨今においてはほとんど唯一のものといってよい,人間と社会に関する包括的な理論提示の試みである。それらは,社会変革理論としてはマルクス主義に対して,社会ヴィジョンとしては今日のネオリベラリズムに対して,それぞれ包括的な対案を示そうとするものである。日本では批判法学の太祖として紹介されてきたが,法理論(批判法学)はこのように彼の関心の一断片を構成するにすぎない。人間社会の事象すべてを考察および実践の対象とするアンガーには,哲学者・政治活動家の称号こそふさわしい。〔Anderson, Perry. 1989. “Roberto Unger and the Politics of Empowerment.” New Left Review 173 (February).〕 アンガーの思想の根幹には,人間の生を基礎付ける必然的な社会的・政治的・経済的諸制度といったものは存在せず,社会的世界は創造と想像の産物であるという確信がある。すなわち,財産権の諸形態,権力分立の諸形態,労働の諸形態など,それらはすべて歴史的・偶有的な人工物に他ならず,自由で豊かな社会の実現といった目的に対して必然的な関係を持つものではない。市場・政府・市民社会の諸制度は,常に実験と修正に開かれていなければならないし,実際に開かれているのである。〔 実際,その著作は,人間の社会的・政治的・経済的諸活動の理念・理想を明らかにし,それら理想を既存の制度の鎖から解き放とうとしてきた。このようにして理念を既存制度から解放することこそが,人間の潜在能力が十全に開花することを可能とし,人間を―彼の表現するところによれば―「より神的な(more god-like)」な存在とするとアンガーは考えるのである。 祖国ブラジルにおいては,政治家としての活動を通して,諸制度の新しい提案と実現を試みてきた。ブラジル民主運動党(PMDB)の設立メンバーの1人であり,マニフェストの執筆者である。また,第2次ルーラ政権により招聘され,戦略的国家政策大臣 (Minister of Strategic Affairs) を務めている。 == 人物 == ブラジル・リオデジャネイロ出身。ハーバード・ロー・スクール教授。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ロベルト・マンガベイラ・アンガー」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Roberto Mangabeira Unger 」があります。 スポンサード リンク
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