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ヴァルター機関 : ウィキペディア日本語版
ヴァルター機関[わるたー]

ヴァルター機関(ワルター機関、)とは、1933年から第二次世界大戦末期にかけてドイツヘルムート・ヴァルターにより主として軍事用に開発された、高濃度の過酸化水素が分解する時に発生する水蒸気や酸素を利用する熱機関の総称である。
== 作動原理 ==
80%濃度の過酸化水素は、比重1.36、淡黄色、刺激臭の芳香を持つ液体で、機密保持上「インゴリン」(または、Tストフ=T液)と呼ばれた。
この液体は、有機化合物、鉄さびなどに接触すると、激しく反応して分解するため、安定剤として少量のオキシキノリンおよびピロリン酸ナトリウムを混合し、アルミニウム陶器ステンレスポリ塩化ビニルなどで作られた容器に入れて保管される。
この液体は触媒に触れると 552 kcal/kgを出して酸素ガスと水蒸気(水)に分解する。触媒としては、過マンガン酸ナトリウム過マンガン酸カルシウム水溶液、通称Zストフ(Z液)を用いる。
低温式ヴァルター機関は、この高濃度過酸化水素と触媒とを反応させ、分解時に発生する酸素と水蒸気の混合ガスを作動流体として利用するものである。
高温式ヴァルター機関は、発生した酸素と燃料(軽油メタノール、水和ヒドラジンなど)とを混合して燃焼させ、発生する高温高圧ガスを作動流体として利用するものである。低温式よりも経済的で出力の制御も可能であるため、比較的長時間の使用に適している。また、燃焼ガスの温度は必要に応じて水を加えることにより調整する。
これら作動流体の利用形態としては、直接噴射してその反動を利用するロケット式と、タービンを駆動させて軸出力に変換するタービン式の2種類があり、用途に応じて使い分けられた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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