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ヴィッカース水陸両用戦車 : ウィキペディア日本語版
ヴィッカース水陸両用戦車[ヴぃっかーす]

ヴィッカース水陸両用戦車(またはヴィッカース水陸両用軽戦車、カーデン・ロイド水陸両用戦車など。''Vickers amphibious light tank'')は、1930年代初頭、イギリスのヴィッカース=アームストロング社で開発された軽戦車である。浮航機能を持った水陸両用戦車としては最も初期のもので、イギリス陸軍には採用されなかったが、数カ国に輸出され、中華民国陸軍では対日戦に使われたほか、ソビエト連邦では独自の発展型を生み出し、第二次世界大戦で使用された。
==開発==
ヴィッカース水陸両用戦車は、ヴィッカース(カーデン・ロイド)軽戦車Mk.I の駆動系、足回りを使って製作された。原型は1931年4月、チャーツィー(Chertsey)近くのテムズ川でデモンストレーションが行われた。試作車両は2両製作され、イギリス国防省からA4E11、A4E12の試作呼称が与えられた(L1E1、L1E2と呼ばれる場合もある)。
ヴィッカース水陸両用戦車は、特別に浮きなどを追加装着しなくとも浮航能力を持つ、生産車としてはおそらく世界初の水陸両用戦車で、水密性のある平底船形の車体を持ち、車体後面中央に、水上航行用のスクリューと、筒型の舵を備えていた。試作車では車体後部上面に若干の傾斜が付けられていたが、生産車では単純な平板となった。浮力を稼ぐため、車体側部には、バルサ材(資料によってはカポック繊維)を鉄板で覆った浮材がフェンダーを兼ねて装着された。重量を極力抑える必要があったので装甲は薄く、しかも頑丈なフレーム材も無しで組み立てられていたので、強い力が掛かると車体が歪む可能性があった。
砲塔はヴィッカース重機関銃1丁が搭載された、初期の輸出用ヴィッカース軽戦車や、ヴィッカース 6トン戦車双砲塔型(type A)とほぼ同型のものが使われていた。エンジンはほぼ車体中央の右側に搭載され、これと重量バランスを取るため、砲塔・運転席は左側にあった。試作車ではそれでもバランスが不十分で、左側転輪ボギーの外側にガーダービーム式にバラストが付けられていたが、生産車では何らかの措置が講じられたらしく、このバラストは取り払われた。足回りはリーフスプリングで懸架された2輪ずつのボギーが片側2つずつで、最後尾転輪が誘導輪を兼ねていた。
結局、イギリス軍には採用されることなく終わったが、少なくとも40両程度が生産され、数カ国に輸出された。これら輸出型は、一般にヴィッカース(カーデン・ロイド)水陸両用戦車1931年型の名称で知られる。最もまとまった数を購入した中華民国軍の装備車両は実戦に投入されたほか、ソビエト連邦では独自の発展型が生み出され、独ソ戦前半に大量に使用された。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ヴィッカース水陸両用戦車」の詳細全文を読む



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