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一方的行為 : ウィキペディア日本語版
一方的行為[いっぽうてきこうい]
一方的行為(いっぽうてきこうい、、、)とは、単独の法主体あるいは法主体群による、他の法主体の意思からは独立して、特定の法的効果を発生させる旨の意思表示(une manifestation de volonté)であって、法規範がこの意図された法的効果を発生させる場合の行為をいう。このように「一方的行為」とは、通常、「一方的法律行為」(、)を指す。これと区別して、そのような法的効果の発生を意図しない、単なる事実行為は、「一方的行動」(、)または「一方的措置」(、)と呼ばれる。
ここでは、分権的性格を有する国際社会における法、すなわち国際法における一方的行為を述べる。
==国際法上の一方的行為==
一般的に、国際法上の一方的(法律)行為には、次の5つがあるとされている〔Suy,E., ''Les actes juridiques unilatéraux en droit international public'', Paris, L.G.D.J., 1962.〕。
*「抗議」(、、)
ある状態、状況、行動を自国が合法と受け入れないことを表明し、自国の法的権利を保持する行為をいう。「プレア・ビヘア寺院事件」において、国際司法裁判所は、タイが寺院の地図についてフランス当局との交渉中にいくつかの抗議をする機会があったのにしなかったこと、前内務大臣でシャム王立協会長にあたる人物が寺院を訪れた際にもなんら自国の権原について行動や反応をしなかったことについて、タイが当時の寺院が描かれている地図を受諾したものと見做した(''I.C.J.Reports 1962'', pp.29-31.)。
その後、2007年から2008年にかけてカンボジアがプレア・ビヘア寺院をユネスコ世界文化遺産に登録したことを契機に両国間で武力衝突が発生したため、2011年4月28日にカンボジアは1962年判決の解釈請求の訴訟を国際司法裁判所に起こした。カンボジアは、1962年判決では自国の領域主権がプレア・ビヘア岬及びプノン・トラップ丘双方にわたると示されたと主張し、これに対してカンボジアは、1962年判決は寺院がカンボジアの領域主権に属すると示したものの、上記地図で示された境界線が両国間の国境線であるとは示していないと争った。裁判所は、2013年11月11日の判決において、1962年判決主文第2段落の「寺院ないしカンボジア領土上にあるその付近」(the Temple, or in its vicinity on Cambodian Territory)という文言は、当時、タイが軍を駐留させていて同判決でその撤退を義務づけられた領域であるプレア・ビヘア岬のことであると判示した(Judgment of the International Court of Justice, 11 November 2013, paras.76-99.)。
*「承認」(、、)
ある状態、状況、行動を自国に対抗力があるものとして受け入れる行為をいう。「東部グリーランドの地位事件」において、常設国際司法裁判所は、ノルウェー外相イーレンが、デンマークとの外交文書の交換の中で「当該問題の解決にいかなる困難ももたらさない」と宣言したことによって、ノルウェーはデンマークの東部グリーンランドの主権を争うことを控える義務があると判示した(''P.C.I.J.'', Series A/B, No.5, 1927, pp.71-73.)
*「通告」(、、)
ある自国の行動や事実を他国に伝え、その他国がそれ以後、その事実について知らなかったと抗弁することをできなくする行為をいう。「漁業事件」において、国際司法裁判所は、ノルウェーはその領海画定に関する法制度を、国際連盟事務総長への覚書、ノルウェー最高裁判所判決、フランスとの外交文書の交換によって広く知らしめていたのであり、イギリスはこれを無視することができなかったとして、イギリスの長期にわたる抗議の欠如及び国際共同体の一般的容認を根拠に、ノルウェーは当該自国法制度をイギリスに対抗させることを許される、と判示した(''C.I.J.Recueil 1951'', pp.134-139.)。
*「約束」(、、)
自国が将来の自らの行動について、拘束される意思を表明する行為をいう。国際司法裁判所は、1974年の「核実験事件」において、自国が拘束される明確な意思が公に表明された場合、その宣言は、信義誠実原則に基づき拘束性を有するとした。そして、1974年6月8日のフランス大統領府の声明及び1974年6月10日の在ウェリントン・フランス大使館のニュージーランド外務省宛て書簡(「フランスは地下核実験の段階に移行できる状態になる」(la France sera en mesure de passer au stade des tirs souterrains...))、1974年7月25日のフランス大統領の記者会見における宣言や1974年9月25日のフランス外務大臣の国連総会での演説など、一連の大気圏核実験停止の諸表明がフランス自身を拘束するとし、これによってオーストラリア及びニュージーランドの請求目的は失われたと判示した(''I.C.J.Reports 1974'', pp.267-272, pp.473-478.)。これについては、フランスはただ大気圏核実験から地下核実験に移るという政策を述べただけだ、という批判もある(「核実験事件」判決オニエアマ裁判官、ディラード裁判官、ヒメネス=デ・アレチャガ裁判官、ウォルドック裁判官共同反対意見、''I.C.J.Reports 1974'', p.323; ドゥ・カストロ裁判官反対意見、''C.I.J.Recueil 1974'', p.375.)。
*「放棄」(、、)
自国が保有する法的権利をこれ以上行使しないものとして捨てる行為をいう。1986年の国際司法裁判所における「ニカラグアにおける軍事的、準軍事的行動事件」の後、ニカラグア政府と米国政府は和解し、ニカラグアは文書によって「ニカラグア政府は関連事件を基にした今後全ての訴訟の権利を放棄することを決定した。」と示した(103 I.L.M.105(1992))。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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