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丁稚 : ウィキペディア日本語版
丁稚[でっち]
丁稚(でっち)とは、商家に年季奉公する幼少の者を指す言葉。職人のもとでは弟子、子弟とも呼ばれる。江戸時代に特に多かった〔『世界大百科事典』(平凡社)「でっち」の項目〕。
現代でも一般社員(ヒラ社員)が自嘲的に「まだ丁稚です」と比喩的に使う事もある。上方ことばの丁稚に対して江戸(関東)ことばでは「小僧」である。
==主人への道==
10歳前後で商店に丁稚として住み込んで使い走りや雑役をし〔採用に至るまでは紹介者の仲介や、保証人による保証が必要とされ、大商店の丁稚になることは狭き門であった。〕、丁稚の中でも経験年数によって上下関係がある(丁稚の時の呼び名は「*松」で、*には丁稚の一字が入る場合が多い)。丁稚の仕事は多岐に亘り、前述の他に蔵への品物の出し入れや力仕事が多く、住み込みの為に番頭や手代から礼儀作法や商人としての「いろは」を徹底的に叩き込まれる。また入り口付近に立って呼び込みや力仕事が主な仕事で、商品を扱う事は無い。丁稚奉公の者は、店が一日の仕事を終えたからといって終わりではなく、夕刻閉店した後には番頭や手代らから商人として必須条件である読み書きや算盤を教わった。他店や客からは「丁稚どん」又は「小僧」「坊主」などと呼ばれる。
その後、主人(船場言葉で「だんさん」)の裁量で手代となる。小僧から手代までおおむね10年である。手代はその字の通り、主人や番頭の手足となって働く(手代の時の呼び名は「*吉」「*七」等で、下位の番頭と同じである)。そして、番頭を任され(大商店では“小番頭”“中番頭”“大番頭”と分けられる時があり、呼び名は「*助」である)主人の代理として店向き差配や仕入方、出納や帳簿の整理、集会等の参列など支配人としての重要な業務を任されるようになる。
番頭となるのはおおむね30歳前後であり、支店をまかされたり暖簾分けされ自分の商店を持つことが許される。ただしそこに到達するまでは厳しい生存競争に勝ち抜く必要があった。例えば、江戸期の三井家の丁稚の場合、暖簾分けまで到達できるのは三百人に一人であった〔「江戸東京博物館」展示資料より。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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