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三体問題[さんたいもんだい] 古典力学において、三体問題(さんたいもんだい、)とは、重力ポテンシャルの下、相互作用する三質点系の運動の問題〔E. T. Whittaker (1988), Chapter.XIII〕〔大貫、吉田(2001)、第5章〕。天体力学では万有引力により相互作用する天体の運行をモデル化した問題として、18世紀中頃から活発に研究されてきた〔F. Diacu and P. Holmes (1988)〕〔I. Peterson (1993)〕。運動の軌道を与える一般解が求積法では求まらない問題として知られる。 現実的に三体問題を取り扱う場合、問題の簡略化のために、いくつかの仮定がなされることがある。三体ともに同一平面上を運動するという仮定を置く場合、平面三体問題と呼ばれる。三体のうち、一体の質量が他の二体に影響を及ぼさないほど微小で無視できるとする仮定を置いた場合、制限三体問題と呼ばれる。特に制限三体問題において、残り二体の軌道を円軌道と仮定する場合、円制限三体問題と呼ばれる。 現在までに、例外的に解の形が知られている特殊解としては、円制限三体問題におけるラグランジュ点や、三体の質量が等しい場合に、8の字型の軌道をとる8の字解〔A. Chenciner and R. Montgomery, "A remarkable periodic solution of the three bodyproblem in the case of equal masses," ''Annals of Mathematics'' 152, 2000, 881–901.〕等が存在する。 三体問題が求積可能であるかという可積分性についての否定的な結果は、フランスの数学者アンリ・ポアンカレによって、導かれた〔H. Poincaré, "Sur le probléme des trois corps et les équations de la dynamique," ''Acta Mathematica'', 13, 1890, 1-270. 〕。1889年にスウェーデン兼ノルウェー国王オスカー2世の還暦を祝うために開催されたコンテストで、ポアンカレはいくつかの仮定を置いた制限三体問題を考察し、運動を定める第一積分と呼ばれる保存量がある種の摂動級数では表現できないことを示した。さらに、ポアンカレはこの研究の中で安定多様体、不安定多様体が交差するために生じるホモクリニック軌道と呼ばれる極めて複雑な運動の挙動の概念に到達した〔H. Poincaré, ''Les Méthodes Nouvelles de la Méchanique Celeste'' , Gauthier-Villars, Paris, Tome.I (1892), Tome.II(1897), Tome.III(1899)〕。こうした三体問題を端緒とする積分可能性やカオス現象の研究は、現代的な力学系理論の発展の契機となっている。 == 脚注 ==
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