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三国遺事 : ウィキペディア日本語版
三国遺事[さんごくいじ]

三国遺事』(さんごくいじ)は、13世紀末に高麗の高僧一然1206年 - 1289年)によって書かれた私撰の史書。大部分の撰述の時期は1270年代後半から1280年代中頃であり、一然の没後に弟子の無極(宝鑑国師の混丘)が補筆・署名し、刊行されたと見られる。
朝鮮半島における現存最古の史書である『三国史記』(1145年完成)に次ぐ古文献ではあるが、由来の怪しい古書を引用するなど、史書としての問題点は少なくない。しかし、三国時代及びそれ以前の朝鮮半島の歴史を記した資料は極めて乏しいということもあって、『三国史記』と並んで朝鮮半島古代史の基本文献として扱われている。また、『三国史記』が名だけを留めて収めなかった郷歌(きょうか、ヒャンガ)を14首伝えており、言語学資料としての価値も高い。
== 概要 ==
官撰の『三国史記』は儒学者である金富軾の編纂になるものであって、その姿勢はあくまでも中国史書の書式(紀伝体)に忠実であろうとしたために、三国時代の故事・伝承が数多く削り落とされている。またその当時利用が可能であった中国の書籍を資料として利用しているため、例えば卑弥呼の記載があるなど不自然な点もある。特に新羅の立場から編集しているため利用には注意を要する。金富軾の編集態度に不満を抱いた一然は、『三国史記』が取りこぼした故事を拾い集め、また自身の禅僧としての立場から仏教の普及に関わる事実とをあわせて収録しようとした。正史からこぼれ落ちた説話などをかき集め整理したものとして遺事と称したが、ただ単に『三国史記』を補おうとする位置づけではなく、「王暦」末尾の中国諸王朝についてを記さずに宋(南宋)で終えて大宋と記し、紀異篇の最初に檀君を記しているなど、一然が編纂にあたった当時の元の支配に反対し、民族の自主独立を掲げようとする姿勢も見せている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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