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三枝・伊藤酸化(さえぐさ・いとうさんか、英語:Saegusa - Ito oxidation)は有機化学で用いられる化学反応である。1978年に三枝武夫と伊藤嘉彦によってα,β-不飽和カルボニル化合物を得る手法として発見された。元々この反応は、シリルエノールエーテルの合成に続く酢酸パラジウムと1,4-ベンゾキノンの処理によって対応するエノンを得る手法として報告され、クプラートのような求核剤による1,4-付加に続いて不飽和結合を再生する、という使い方を想定したものだった。 非環式化合物を用いた場合、熱力学的に安定なE体が選択的に得られる。 この発見は、その8年前の、酢酸パラジウムと不活性ケトンから低収率で同じ生成物を得た、という研究に基づいている。三枝、伊藤による主な改善点は、反応種がエノールであると認識した上で、シリルエノールエーテルを用いる手法を開発したことだった。 この反応はほぼ化学量論量のパラジウムを必要とし、工業的に用いるには高価すぎると考えられているが、より優れた触媒の開発も進んでいる。欠点はあるものの、複雑な分子に温和な条件下で官能基を導入する手段として、三枝・伊藤酸化は合成の後期に使われている。 ==反応機構== まず、エノールがシリル基を失ってパラジウムに配位し、オキシアリル-パラジウム錯体を形成する。これはベータ水素脱離によって水素化パラジウム-エノン錯体となり、そこから還元的脱離によって酢酸、Pd0、目的の生成物を得る〔Oxidation , Chem 215 lecture notes〕。β脱離は可逆なので、反応は熱力学的支配を受け、非環式化合物の場合化学平衡は E 体の生成に傾く。また、生成物は安定なPd0-オレフィン錯体となるため、パラジウムを再酸化して触媒的に用いることが困難になっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「三枝・伊藤酸化」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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