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上皮間葉転換[=]
上皮間葉転換(=上皮間葉移行、Epithelial-Mesenchymal Transition /or Transformation, EMT)とは、上皮細胞がその細胞極性や周囲細胞との細胞接着機能を失い、遊走、浸潤能を得ることで間葉系様の細胞へと変化するプロセスである。上皮間葉転換は中胚葉形成や神経管形成などを含むさまざまな発生プロセスに重要な役割を果たしている。また、創傷治癒や組織の線維化、癌の浸潤、転移などにおいて出現していると考えられている。 == はじめに ==
上皮間葉転換は当初、胚形成における特徴として捉えられていた。〔 Kong D, Li Y, Wang Z, Sarkar FH (2011). "Cancer Stem Cells and Epithelial-to-Mesenchymal Transition (EMT)-Phenotypic Cells: Are They Cousins or Twins?". Cancers (Basel) 3 (1): 716–29. doi:10.3390/cancers30100716. PMID 21643534.〕上皮間葉転換およびその逆プロセスである間葉上皮転換は胚の発育および、その他多くの胎生期のイベント(原腸陥入、神経堤形成、心臓弁形成、口蓋形成、筋形成など)において、さまざまな組織や器官の形成、成長、分化に対し非常に重要な役割を果たしている。〔Thiery JP, Acloque H, Huang YJR, Nieto MA (2009). "Epithelial-Mesenchymal Transitions in Development and Disease". Cell 139 (5): 871–890. doi:10.1016/j.cell.2009.11.007.〕 上皮細胞、間葉細胞は、機能と同様、形態も異なっている。上皮細胞は、密着結合、ギャップ結合、接着結合などの細胞接着分子によりお互いの細胞が接着している。これにより、細胞極性やアクチン骨格の極性を保っている。また、底部では基底膜により固定されている。一方、間葉系細胞においては、そのような極性はなく、紡錘状の形態をとり、部分的な点のみで細胞同士の相互作用を行う。〔Thiery JP, Sleeman JP. (2006). "Complex networks orchestrate epithelial-mesenchymal transitions". Nature Reviews Molecular Cell Biology 7: 131–142. doi:10.1038/nrm1835.〕 上皮細胞がEカドヘリンを高発現している一方、間葉系細胞はNカドヘリン、ビメンチンやフィブロネクチンを発現している。上皮間葉転換は細胞に形態および質的な大きな変化を呼び起こす。生物学的な背景より、上皮間葉転換は3つのタイプに分類できる〔Kalluri R, Weinberg RA (2009). "The basics of epithelial-mesenchymal transition". Journal of Clinical Investigation 119 (6): 1420–1428. doi:10.1172/JCI39104.〕 * タイプI: 成長・発育(タイプI) * タイプII: 線維化、創傷治癒(タイプII) * タイプIII: 癌
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「上皮間葉転換」の詳細全文を読む
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