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不全流産 : ウィキペディア日本語版
流産[りゅうざん]
流産(りゅうざん、)は、妊娠の継続が停止することを指す。
ここでは自然妊娠中絶という意味の流産について記述する〔一般的に流産というと自然妊娠中絶のことを指す場合が多いが、日本産科婦人科学会では「妊娠22週未満の妊娠中絶」を「流産」と定義している(妊娠22週以降の場合の妊娠中絶は「死産」と定義)。日本産科婦人科学会の定義ではさらに、妊娠12週未満の「流産」を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の「流産」を「後期流産」という。「後期流産」については法令上、死産の場合と同様の死産届が必要となる。〕。
== 疫学 ==
妊娠の8 - 15%に生じる。
周産期医療の発達した2009年現在も24週未満の早産は予後不良な場合が多い。流産では12週未満に起こった場合は染色体異常が原因のことが多く早期流産という。また12週以降では羊膜絨毛膜炎が原因であることが多い。自然流産の発生頻度は15%程度である。そのため3回以上流産をする確率は0.5%未満であると考えられ、3回以上の流産が連続する習慣流産では何らかの異常が疑われ精査が必要となる。40歳以上では自然流産の確率は25%と高くなる。これは染色体異常の頻度が高くなるためであり、羊水の性状とは関係はないと考えられている。少量の性器出血、軽度の下腹部痛を呈し、内子宮口が未開大である場合は切迫流産の可能性が高い。性器出血に加え、陣痛様の下腹部痛を呈し、内診にて子宮口の開大が認められる場合は進行流産を疑う。切迫流産の場合は妊娠の継続が可能な場合もあるので安静、臥床とし16週以降で子宮の収縮が認められる場合は子宮収縮抑制薬を使用する。これらの治療は医療機関で行われるのが通常である。進行流産の場合は妊娠の継続は不可能と考えられており、子宮内容除去の適応となる。それ以外に無症状だが経腟超音波検査にて枯死卵を認める場合を稽留流産といい、これも子宮内容除去の適応となる。
40歳以上で染色体異常が起こりやすい理由は発生学によって解明されている。女性の生殖細胞は、胎生期の原始生殖細胞が卵祖細胞そして卵母細胞に分化することで生じる。胎生期に卵母細胞は有糸分裂を繰り返し、最大で700万個まで増殖する。全ての卵母細胞は第一次減数分裂の前期である複糸期に細胞周期を固定される。このメカニズムは卵巣上皮より分化した卵胞細胞によって説明されている。卵胞細胞は卵子成熟抑制物質を分泌し、思春期即ちGnRHの周期的な分泌が開始されるまで卵母細胞が第一次減数分裂を終了しないようにしている。排卵される卵母細胞は、排卵前に第一次減数分裂を終了し、すぐに第二次減数分裂を開始する。しかし紡錘体形成以後は受精しない限り進行しないとされている。加齢を重ねると、それだけ卵母細胞が減数分裂の途中である複糸期で固定されている時間が長くなる。この間に物理的、化学的刺激によって染色体、遺伝子に異常が生じるため流産が起こりやすくなると考えられている。また、近年では加齢による遺伝子異常率の上昇にはレントゲンによる累積被爆が作用しているとの指摘もされている。なお、流産をするということは、最低限、卵細胞が精子と受精し着床できていることを示している。実際には加齢によって卵母細胞に異常が生じていると、受精、着床が不可能な場合も出てくる。この場合、流産とカウントされない(妊娠をしないから)。よって一般に加齢を重ねると妊娠もしにくく、流産もしやすく、胎児に影響も出やすいといえる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「流産」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Miscarriage 」があります。



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