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不可知論 : ウィキペディア日本語版
不可知論[ふかちろん]
不可知論(ふかちろん、)は、ものごとの本質は人には認識することが不可能である、とする立場のこと。
== 概説 ==
不可知論というのは、事物の本質は認識することができない、とし〔平凡社『哲学事典』p.1185〕、人が経験しえないことを問題として扱うことを拒否しようとする立場である〔。現代の哲学で言えば、哲学用語で言う現象を越えること、我々の感覚にあらわれる内容を越えることは知ることができない、として扱うことを拒否する立場である。
agnosticismという表現は、トマス・ヘンリー・ハクスリーが自分の立場を言い表すために用いられはじめた、という〔。それは1868年(あるいは69年)だという。
R.H.ハットンの1881年3月13日付けの書簡によれば、この語は、1869年の或る晩、Metaphysical Societyの結成以前に、Clapham Commonにあるジェームズ・Knowles邸で開かれた、或るパーティーでハクスリー教授によって提唱されたものである。彼は、それを聖パウロの「使徒行伝」の第17章23節の「知られざる神」の祭壇の言及から採った。
カント以降の「物自体は不可知だ」とする考えも不可知論である。
不可知論は本質的な存在については認識不可能だとする。そのような主張に至るには、懐疑論現象学実証主義などの立場によるものがある。
不可知論のなかにもさまざまなタイプがあり、存在を絶対のものとして、認識を言葉以上のものではないとする立場があり、また、認識が不可能であることを認めつつも本質的存在自体を想定することは可能であるとする立場もある。

宗教的不可知論のひとつのタイプとしては「神は「いる」とも、「いない」とも言えないのだ」とする中立的不可知論がある。他に、政治的な意図から無神論者であると言明するのがはばかられる場合に用いられる表明が入れられることもあるが、これは政治的な運動であるマルクス・レーニン主義者や科学原理主義者などの無神論者からは "相対主義的だ"などと批判されることがあった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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