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不可能犯罪 : ウィキペディア日本語版
密室殺人[みっしつさつじん]

密室殺人(みっしつさつじん、)は、推理小説などのフィクションで、密室(外と出入りができない部屋)の内部で人が殺されており、なおかつ、その犯人が室内に存在しない状態のこと〔大辞泉「密室殺人」〕。推理小説の設定のひとつである「不可能犯罪」の一種〔。
== 概論 ==
密室殺人は、「偽造アリバイ」と並んで本格推理小説の代表的な題材である。特定の登場人物(犯人)による犯行が不可能であるように見せかけるのがアリバイトリックであるのに対して、登場人物のみならず作品世界の全人類に実行が不可能であるように見せかけるのが密室トリックである。この見せかける主体は第一に作者であるが、作品中に密室殺人を現出させるにおいては、「犯人の意図」「被害者を含む犯人以外の意図」「偶然の作用」の三つの経路があり、さらにこの三つはしばしば入り交じる。作者がダイレクトに読者に作用を及ぼす叙述トリックは、密室構成への適用はごく少ない。
基本的に、アリバイトリックが遂行されていたことは、解決の時点まで明示されないのに対し、密室トリックの存在は、一見自殺や事故という状況であってさえ、読者が早々に予想できるように展開する、そのような作例が多い。
推理小説における「密室」とは、一見 人の出入りが不可能な部屋を指す。「内側から施錠された部屋」が典型例である。密閉の厳重さは、人はおろか空気の流通さえない状況を提示して、を強調する作例がある。逆によりゆるやかな状況、出入りが可能でも足跡がないことなどにより犯行時には人の出入りはなかったと判断されたり、絶えず視線にさらされていたがため密室であったとみなされる作品もある。また球場、列車、都市など部屋よりもはるかに広い空間が閉鎖下にある場合や、崖や川など、自然の造形が隔絶に一役買っている空間が密室に見立てられることもある。また被害者ではなく容疑者や凶器などを密室に置いて、鉄壁のアリバイに等しい、限定された不可能というべき状況を提示した作品もある。
密室で他殺死体が発見されながら、室内に犯人がいないという、狭義の密室殺人の場合、以下の要素のいずれかに欺瞞(トリック)が存在する。
# 外部の力が及ばない
# 室内で
# 閉鎖期間中に
# 他の人間によって
# 殺害され
# 閉鎖解除と同時に
# 犯行と
# 加害者たり得る人間の非在が
# 確認される
推理小説の元祖とされるエドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』以降、多くの作家の手によってヴァリエーションを増やし、部屋や閉鎖とは無縁な状況が次々考案されるに至り、「不可能犯罪」(impossible crime)の概念が見出されることになった。サブジャンルとしての隆盛にはジョン・ディクスン・カーの貢献が大きい。日本でも江戸川乱歩から現代に至るまで消長はあっても一定の人気を得てきた。横溝正史は「一人二役」「顔のない死体」とともに推理小説の三大トリックとしている。
カーが長編小説『三つの棺』(1935)の一章をレクチャーに割いて以降、トリックの分類自体が読み物として幾分の人気を得て、小説内の講義や独立の文章として何種類かが発表されている。また小説中の不可能犯罪の状況と解決の要約を2000篇以上集めて1冊にまとめた書物も存在する。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「密室殺人」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Locked room mystery 」があります。



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