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不当労働行為(ふとうろうどうこうい)とは、使用者が行う労働者の団結権を侵害する行為であり、労働組合法において禁止されている。 ==不当労働行為の種類== 以下の使用者の行為が、不当労働行為とされる(労働組合法第7条)。 *労働者が労働組合の組合員であること、労働組合を結成しようとしたことその他労働組合の正当な行為をしたことを理由として、その労働者を解雇しその他これに対し不利益な取扱いをすること(不利益取扱)。 *労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること(黄犬契約)。 *労働協約によって、その労働組合の組合員であることを雇用条件とすること(特にユニオン・ショップ協定)は不当労働行為とはならない。 *正当な理由なく、団体交渉を拒否すること(団体交渉拒否)。 *単に交渉に応じるだけでなく、誠実に交渉を行う義務がある。 *労働組合の結成、運営を支配介入し、又は労働組合に対して経理上の援助をすること(支配介入)。 *本来労働組合が任意に決めるべきである、組合員資格の範囲の限定や、上部団体加入に対する妨害は、不当労働行為となる。 *労働者のうち誰が組合員であるかを使用者が調査することは、一般的に直ちに支配介入に当たるものではない(最判平7.9.8)。 *労働組合の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの(経理援助)。 *但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すこと、福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与をすること、は不当労働行為とされない(労働組合法第2条2項但書)。したがって、争議行為に参加して労務の提供をなさなかった場合に、労務の提供のなかった部分について賃金を差し引かずに支給することは不当労働行為となる。 *労働者が労働委員会の手続きに関与したこと、(不当労働行為の申立てをしたこと若しくは労働争議の調整をする場合に証拠を提出し若しくは発言したこと等)に対してその労働者に不利益な取扱いをすること。 ここでいう「使用者」とは、労働契約上の使用者と原則として一致するが、労働契約上の使用者でない場合であっても、 *親会社が子会社の業務運営を支配し、子会社従業員の労働条件も実際上親会社が決定している場合には、子会社従業員の組合の要求があれば親会社はこれと直接団体交渉をする義務があるとされ、またこのような立場にある親会社は、子会社の組合に対する支配介入も禁止される。 *請負又は労働者派遣により社外労働者を受け入れて就労させている企業(受入先企業)が、社外労働者の就労について指揮命令を行い、就労の諸条件を決定している場合には、社外労働者の直接の雇用主が事業主体としての実態をほとんど持っておらず、それら労働者が実際上は受け入れ先企業の従業員に近い状態にある場合には受入先企業が唯一かつ全面的な使用者とされる(最判昭51.5.6、最判平7.2.28)。 *出向の場合は、使用者としての権限は出向元・出向先で分担することになる。両会社とも不利益取扱および支配介入は禁止される。 不当労働行為禁止の規定は、憲法第28条に由来し、労働者の団結権、団体交渉権を保障するための規定であるから、これに違反する法律行為は当然に無効となる(最判昭43.4.9)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「不当労働行為」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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