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世本
『世本(せほん)』は中国の三皇五帝時代から春秋時代に至る帝王、諸侯、卿、大夫の氏姓や系譜、居所、諡、及びそれら王侯卿大夫の発明に帰せられる器物の由来等を誌した書。。 完本は逸するが諸書に引用された逸文が遺されている。 == 成立 == 原書の成立時期は、戦国時代中期以降と見たり〔新城新藏「孔孟紀年」二孔子生卒年月日考、『高瀨博士還暦記念支那學論叢』所収、弘文堂書房、昭和3年。〕その末期と見たり〔鈴木博「主要文献解題」(袁珂(鈴木訳)『中国の神話伝説』付録2)、青土社、1993年。〕と諸説あって定かでないが、漢司馬遷が『史記』を編むに際して参照したというので〔『漢書』司馬遷伝(巻62列伝第32)論賛。後漢班彪「後伝略論」(『後漢書』班彪伝(巻70上列伝第30上)所引)。〕遅くとも漢初には成立していた事は判る。 編著者も不明で、初めて著録された後漢班固の『漢書』では古事に精通する史官の手に成るものとされ〔芸文志春秋家(巻30志第10)。因みに、劉向に依る同趣意の文が司馬貞『史記索隱』に引かれているが(史記集解序世本語注)、茆泮林はこの文を『別録』の逸文と見ている(『十種古逸書』所収『世本』「世本諸書論述」、道光元年。維基文庫版「世本」に拠る(平成27年12月17日閲覧))。〕、その場合、『周礼』春官瞽矇条に「諷誦詩世奠繋、鼓琴瑟((瞽矇は)詩と世の奠繋を諷誦し、琴瑟を鼓す)」、同小史条に「掌邦国之志、奠繋世、弁昭穆((小史は)邦国の志を掌り、繋世を奠(さだ)め、昭穆を弁ず)」とある「世奠繋」や「繋世」が本書の元になったものと考えられ〔『周礼』鄭玄注と賈公彦疏(『周礼注疏』(十三経注疏本)巻23、巻26)。〕、晋皇甫謐に至っては春秋時代の左丘明の撰とまで唱えている〔北斉顔之推『顔氏家訓』17書証篇所引『帝王世紀』。〕。 なお、人民共和期の陳夢家は秦始皇帝時代に趙国の人の手に成るものと説くが〔。〕、その論拠から見てやや早計であろうとの批判もある〔藤田勝久「『史記』戦国系譜と『世本』」『愛媛大学教養部紀要』28-I、愛媛大学教養部、平成17年。〕。
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