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中世ラテン語(ちゅうせいラテンご、)は、中世にカトリック教会で文語として用いられたラテン語である。 現代におけるラテン語と同様、あくまでも第2言語として使用されたものである。各使用者は必ず別の言語を母語としてもっており、そうした諸言語(民衆ラテン語から発達したロマンス諸語や、ドイツ語などのゲルマン諸語)の特徴が、音韻・文法両面で、中世ラテン語に大きく影響している。 表記はイタリア式の「教会ラテン語」(Lingua Latina Ecclesiastica)の発音が反映されたものに置き換わっているが、部分的に伝統的な表記も維持される場合もあり、あるいは逆に伝統的な綴りに回帰しようと過剰修正(hypercorrection)される場合もあり、かなりの揺れがある。 以下、*を付した項目は古典語でも見られた現象(ただし、古典語では時折見られる程度だったのが、中世語では著しく増えている)。 ほか、多くの特徴は俗ラテン語に見られた特徴を受け継いだ形となっている。 == 発音および表記 == ;長短母音の合流 : *(綴りには現れない変化) ;二重母音の単母音化、単母音との混同 : *二重母音 ae と oe は単母音 として発音され、e あるいは ę (e caudata 、尻尾つき e)と書かれる。 ::例: puellae → puelle, poena → pena : *逆に e が ae(æ)、oe(œ) と書かれる ::例: ecclēsia → aecclesia, cēna → coena ;前舌母音の前の C, G の口蓋化 : *(綴りには現れない変化) の母音(e, ae, oe)および の母音(i, y)の前の c, g が口蓋化し、それぞれ , と発音される ;TI の破擦音化 : *s, t, x に先行されない、母音前の ti は、 と発音され、ci と表記される。 ::例: dīvitiae → divicie, tertius → tercius, vitium → vicium ;I と Y の混同 ::例: īsidōrus → Ysidorus, Aegyptus → Egiptus, ocius → ocyus, silva → sylva ;H と無音との混同 : *無音化した h が書かれない、あるいは逆に、本来はない位置(特に r の近く)に h が書かれる ::例: mihi → mi, habēre → abere, corōna → chorona * ;H と CH の混同 : *母音間の h が として扱われ、ch と書かれる ::例: mihi → michi ;二重子音と単子音の混同 ::例: tranquillitās → tranquilitas, Āfrica → Affrica ;わたり音の挿入 : *mn, mt など、鼻音+歯茎音の間に破裂音が入る ::例: alumnus → alumpnus, somnus → sompnus ;V の摩擦音化 : *(綴りには現れない変化) v は として発音される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「中世ラテン語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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