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原子核物理学における中性子線(ちゅうせいしせん、)とは中性子の粒子線を言う。 == 概要 == 中性子線を物質に当てると、中性子は物質内の原子の原子核と衝突を繰り返すうちにエネルギーを失って行く。やがて、周りの原子(分子)の熱運動と熱平衡状態に達し、その熱運動と同程度のエネルギー状態(kBT程度、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度)となる。この状態になった中性子のことを、熱中性子と言う。常温での値(=kBTでT = 300Kとして)は、およそ0.025eVである。 中性子は電荷を持たないが、スピンを持つので、中性子線は、これを使った結晶構造解析、特に磁気構造の解析に有用である。 中性子線のエネルギーは中性子と同程度の質量を持つ物、すなわち出来るだけ軽い原子核との衝突で効率的に吸収される。よって中性子線を止めるためには水素原子を多量に含む水(巨大な水槽に沈める)やコンクリートなど厚い壁が必要である。重元素による遮蔽は有効ではない〔これは、ピンポン球(=中性子)を、同じピンポン球(=水素)が並んでいる空間に投げ込む(=入射する)場合と、ビリヤードの玉(=重元素)が並んでいる空間に投げ込む場合を想像すれば直感的にイメージできる。それぞれ実際には熱振動をしている訳だが、前者ではピンポン球同士がお互いにはじき飛ばし合って速度(=エネルギー)が均一になり熱振動に紛れてしまうのに対し、後者ではピンポン球が一方的にはじき飛ばされるばかりでほとんど速度は落ちない(=減速されない)。 〕〔水素に比較すれば重い元素であるホウ素やカドミウムと言った元素でも核反応により中性子線を吸収するが、反応を起こす中性子線のエネルギー幅は限られる上に遮蔽材として適当ではない。よってこれら単独で遮蔽材に用いられることはなく、水素原子で十分に減速させた後最終的にこれらの物質に吸収させるという方法が取られる。 〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「中性子線」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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