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丸山ワクチン : ウィキペディア日本語版
丸山ワクチン[まるやまわくちん]

丸山ワクチン(まるやまワクチン、)は、日本医科大学皮膚科教授だった丸山千里博士(1901-1991)が開発したがん免疫療法剤である。無色透明の皮下注射液で、主成分は、ヒト型結核菌から抽出されたリポアラビノマンナンという多糖体と核酸脂質である。
1944年、丸山によって皮膚結核の治療のために開発され、その後、肺結核ハンセン病の治療にも用いられた。1970年代には、末期のがん患者に効果があるとの世評が高まるが、医学界主流は「水みたいに薄いので、毒にも薬にもならない」と批判的だった。
1976年11月に、ゼリア新薬工業から厚生省に「抗悪性腫瘍剤」としての承認申請を行うが、1981年8月厚生省が不承認とした。ただし、「無効と断定するものではない」とし、異例の有償治験薬として患者に供給することを認め、現在に至る。2015年12月末までに、39万9787人のがん患者が丸山ワクチンを使用している。
==歴史==
丸山千里1944年から、結核菌の発見者ロベルト・コッホが開発したツベルクリンにヒントを得て、結核ワクチンの研究を行ってきた。ツベルクリンは、結核治療用としては副作用が強すぎて失敗に終わり、結核診断用の薬剤として生き残っていた。丸山は培養したヒト型結核菌から有害な毒素を取り除くことに成功。残った成分の多糖体、核酸脂質によってワクチンをつくり出した。この結核ワクチンが、長年、皮膚疣状結核や顔面播種状粟粒性狼瘡などの皮膚結核に悩んできた患者たちに著効を示した〔丸山千里「結核ワクチン(結核菌体抽出物質)による皮膚結核症の治療に関する研究」(日本皮膚科学会誌1964年3月. 第74巻 第3号.139~164頁)〕。
1947年1966年にはハンセン病の治療にも用いられ、患者の発汗機能、知覚麻痺の回復などに有効だった〔丸山千里、渡辺芳子、本田光芳、硲省吾「結核ワクチン(結核菌体抽出物質)による癩の治療に関研究」(日本皮膚科学会誌 1964年3月.第74巻 第3号.174~180頁)〕。
丸山が国立療養所多磨全生園に通ってハンセン病患者の診療を続けていた1956年秋、患者が体内にライ菌を保持している間はがんの発生を抑えているという事実を発見した。ライ菌と結核菌とは同じ好酸性の桿菌であることから、結核菌抽出物質の丸山ワクチンががん細胞の増殖を抑制できると考えた。
実験を重ねたのちの1966年に、このワクチン(SSM)を悪性腫瘍に使用した場合、組織細胞の異常増殖を抑制する作用があり、副作用が全くないので、ある程度有効かつ安全な抗腫瘍物質だとする論文を発表した〔丸山千里「結核菌体抽出物質による悪性腫瘍の治療について」(日本皮膚科学会誌1966年7月.第76巻 第7号.399~404頁)〕。
昭和40年代以降『がんの特効薬』とのが一気に高まり、医薬品の承認の手続きより世論が先行することになってしまった。
支持者による嘆願署名運動などが行われ、国会でも医薬品として扱うよう要請された。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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