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主格 : ウィキペディア日本語版
主格[しゅかく]
主格(しゅかく、英語:nominative ラテン語 nominativus、フランス語 nominatif、ドイツ語:Nominativ、Werfall、erster Fall。〕)は、のひとつであり、狭義には、対格言語における主語自動詞文の主語および他動詞文の動作主名詞句)の格をいう。広義には、能格言語絶対格をも nominative case という場合もある〔例えば Dixon (1972: 9)。〕 。
ドイツ語では1格()、と呼ばれることがある。ロシア語では名格と呼ばれる。
== 特徴 ==
典型的な主格は格の範疇のなかで最も無標である。多くの場合、主格形は形式の面では語幹のみからなり、接辞が付かない(ゼロ接辞が付くともいえる)。意味の面では、それ自体では他の語との関係を含意せず、単にある種の事物を指示する機能のみを持つ。この形式と意味の無標性から、主格形は辞書の見出し形や語彙素の基本形とされることが多い。英語名の ''nominative'' がそもそもはラテン語の ''nominativus''、「命名の」という意味の形容詞に由来することからも理解されるとおり、主格形とは事物の「名前」の形なのである。そのため、しばしば呼格を兼ねる。
主格を持っていると広く認められる言語は、サンスクリット語ラテン語ギリシャ語アイルランド語ドイツ語ルーマニア語ロシア語アラビア語トルコ語モンゴル語などであり、定義上、格体系を持つ言語のうち、純粋な能格言語以外の言語には狭義の主格があるといえる。
現代日本語の場合は、名詞に格助詞の「が」を加えた形式が主格であり、ガ格ともいう。日本語においても主格は主語を標示するが、「私は頭が痛い」「あの人は英語が話せる」「私はりんごが好きだ」などの例におけるガ格名詞句を主語とは認めない立場もあり、その場合は格形態と文法関係にずれがあることになる。このような例は他の言語にも多く、例えばイタリア語の ''Non mi piace lei.''(私は彼女が好きではない)のような文でも、好みの対象を指示する代名詞は主格形をとる。
古典日本語の主格は助詞を伴わない形式だった。しかし、連体修飾内の主格は連体格助詞の「が」または「の」で示されたため、のちに用言終止形連体形に合流した〔終止・連体形の合一を参照。〕のに呼応して、連体格助詞だった「が」(一部方言では「の」)が主格の格助詞として機能するようになった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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