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主物 : ウィキペディア日本語版
物 (法律)[もの]

(もの、羅:res 英:thing 仏:chose 独:Sache)とは、日本ドイツなど一部の大陸法系の法域において、法律上、物権または所有権客体を示す概念であり、その主体である人(自然人又は法人)に対する概念である。有体物に限るか無体物を含むかについては、法域によって異なる。類似の概念として、「財産」(英:property 仏:bien)を用いる法域(フランスケベック州など)もある。また、英米法においても、類似の意味で用いられることがある。なお、実務上あるいは講学上、「もの」「者」と区別するために「ブツ」と読む場合がある。
== 日本法 ==

=== 概説 ===
日本の民法は「この法律において「物」とは、有体物をいう」と規定する(民法85条)。ここでいう「有体物」の解釈をめぐっては学説に対立がある〔川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、112頁〕。
* 有体性説(有体物限定説)
: 85条の文言などを重視して、固体液体気体など空間の一部を占めて存在する物を「有体物」とみる説。電気のようなエネルギーは民法上の物ではないとする。特別法により権利の客体となると解することで足りるとみる。
* 管理可能性説(管理可能説)
: 権利の客体として性質を重視して、法律上の排他的な支配が可能である物を「有体物」とみる説〔我妻栄著『新訂 民法総則』202頁、岩波書店、1965年〕〔我妻栄・有泉亨・川井健著 『民法1 総則・物権法 第2版』 勁草書房、2005年4月、104頁〕。電気のように管理可能なものも民法上の物に含まれる。判例はこの立場であるとみられている(大刑判明36・5・21刑録9輯874頁、大判昭12・6・29民集16巻1014頁)〔〔。
実際には民法の条文上において権利の客体が物以外にも拡張されることがある(準占有につき民法205条転抵当につき民法376条、転質権につき民法348条権利質につき民法362条地上権永小作権上に設定される抵当権につき民法369条2項)〔内田貴著 『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』 東京大学出版会、2008年4月、353-354頁〕〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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