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乞食谷戸 : ウィキペディア日本語版
乞食谷戸[こじきやと]

乞食谷戸(こじきやと)とは、日本における貧民街に対する呼称。
ここでは、各地で乞食谷戸と称された貧民街のなかでも規模の大きい、第二次世界大戦前に横浜に存在した貧民街について述べる。
== 概要 ==
1927年の「不良住宅地区改良法」による改良住宅の建設などによって次第に消滅していった場所の一つであり、横浜市中区南太田町の一部地区を指していた。
日本には古くから貧民街が各地に点在していたが、震災戦災などによって拡大・消滅を繰り返した。ここは1925年の不良住宅地区調査〔人口5万以上の都市および、その隣接の町村で100世帯以上の不良住宅が密集した地区を対象とした。このため多数を占める小規模のスラムは対策が遅れ、周囲でも消滅したのはここだけという皮肉な結果となった。住宅供給も決して万全ではなく、単に追い出されて周囲の小スラムへと拡散した者も多い。〕、
1881年(明治14年)頃から貧困層が多く集まり始め、次第に拡大していった。明治30年代半ばの住民登録された人口500人超、戸数およそ120戸。1909年(明治42年)の住民登録された人口約700人。1913年(大正2年)の内務省社会局と神奈川県警察部によって調査された戸数は320戸となった。なお、路上生活者は戸数や人口にカウントされていない。住民の中には他の周辺地域と同様にさまざまな社会的弱者が存在した
〔(1) 港湾労働等の怪我や老齢で働けなくなったもの、孤児など。(2) 結核ハンセン病梅毒等の罹患者。(3) 朝鮮・中国などの外国人。(4) 巫覡盲僧、按摩、瞽女。(5) 日雇いの労働者。(6) 特別要視察人。(7) 関東大震災以後には震災で家財を失った者など。(ただしそれぞれが特にこの地域に多かったというデータは無い。)仮名垣魯文『高橋阿伝夜叉物語』 参照)〕。
住民の職業は様々で、沖仲仕や土工、工員、内職を行う者、香具師、諸芸を行う者、通称の様に乞食を行う者も存在した。乞食の中にはハンセン病患者もみられ、医師の増田勇は1906年に同地に粗末な建物の増田癩治療所をつくり、医療・救済に取り組んだ。
同潤会の不良住宅地区改良事業によって、木造モルタル造の住宅群が地区内へ建設。一部地区については、既存の長屋を流用することによって地区改良が行われた。その改良住宅地区も第二次世界大戦戦災によってほぼ焼失。現在では通常の住宅地となっており、当時の面影は見られなくなった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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