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乾性油 : ウィキペディア日本語版
乾性油[かんせいゆ]

乾性油(かんせいゆ、drying oil)は、空気中で徐々に酸化して固まるのこと。油絵具ワニスに利用される。
成分中の不飽和脂肪酸の量を示す指標であるヨウ素価によって分類され、ヨウ素価が130以上の油を乾性油、100から130のものを半乾性油(semidrying oil)、100以下のものを不乾性油(nondrying oil)という
== 固化 ==
乾性油が固まるのは空気中の酸素との化学反応によるものであり、「乾」とはいうものの、デンプンなどのように溶媒が蒸発して固まるわけではない。
乾性油の主成分である不飽和脂肪酸分子中にいくつかの二重結合を持つ。二重結合は化学的に反応しやすいため、空気中の酸素と徐々に結びついて酸化され、過酸化物ラジカルが生じる。これらが開始剤となって二重結合間の重合反応が進行すると、油の分子同士が互いに結合して分子量の大きな網目状の高分子となり、最終的には流動性を失って固まる。光や熱によって反応は促進され固化が早まる。不飽和脂肪酸の量が多いもの、すなわちヨウ素価の高い油ほど固まるのが早く、反対にヨウ素価が低いものはあまり重合しないため固まらない。
固化した乾性油は元の不飽和脂肪酸とは構造の異なる高分子になっており、とは異なり溶媒や加熱によって再び溶かすことは通常できない。
不飽和脂肪酸の酸化反応や重合反応は発熱反応であるため、進行とともにが生じる。ヨウ素価の高い油をなどに含ませて放置すると、空気にふれる面積が大きくなるために急速に反応が進み、温度が上昇して自然発火するおそれがある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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