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事例証拠(じれいしょうこ、)は、逸話や風聞などの形態をとる形式的でない証拠である。事例証拠とはいっても、「実際に起こった事例に基づいた信頼しうる証拠」という意味ではなく、むしろ正反対の意味に用いられる。根拠に基づく医療のような科学的根拠の反対語として使われることが多く、科学的根拠は形式的な証拠とされる。事例証拠の性質上、科学的方法を使った調査ができない場合があり、科学的証拠としての資格が得られない場合がある。事例証拠の誤用は一種の誤謬である。事例証拠は典型例とは限らない。何が典型的かは統計学的により正確に決定される。 製品/サービス/アイデアの広告やプロモーションに使われた場合、事例証拠は推薦文などと呼ばれ、法律によって禁止されている場合もある。法律関連でも一種の証言を事例証拠と呼ぶことがある。心理学によると、典型例よりも特殊例の方が記憶されやすいと言われている〔Gibson, Rhonda and Zillman, Dolf. (1994). ''Exaggerated Versus Representative Exemplification in News Reports: Perception of Issues and Personal Consequences''. Communication Research, 21(5), pp. 603–624.〕。 事例証拠の全ての形式において、客観性のある独自の評価をすれば、その信頼性は疑わしいものとなるかもしれない。それは、情報の収集・文書化・表現、あるいはそれらの組み合わされた非形式性の結果である。この用語は文書化されていない証拠を意味することが多い。そのため、事例証拠の信頼性はそれを提出した者(あるいは集団)の信頼性に依存する。 == 科学における事例証拠 == 科学において、事例証拠は次のように定義される。 * 「事実や入念な研究に基づかない情報」〔''Cambridge Advanced Learner's Dictionary'' 〕 * 「非科学的な報告や研究結果であり、証明されていないが、調査結果を補助するもの」〔Dictionary.com 〕 * 「通常、科学的でない観察者が行った報告」〔Merriam-Webster 〕 * 「厳密あるいは科学的分析ではない、略式の報告」〔YourDictionary.com 〕 * 「風聞として流布した情報だが、科学的には文書化されていないもの」 事例証拠は、その形式性の度合いにおいて様々である。例えば医療において、文書として公表されている事例証拠は case report (事例報告、症例報告)と呼ばれ、専門家による評価対象となるもので、証拠としてはより形式的な部類である〔Jenicek M. "Clinical Case Reporting" in ''Evidence-Based Medicine.'' Oxford: Butterworth–Heinemann; 1999:117〕。そのような証拠は科学的とは見なされないが、問題となっている現象についてのより厳密な科学的研究の端緒となる可能性がある〔 Vandenbroucke JP (2001). In Defense of Case Reports and Case Series. ''Ann Intern Med''. Vol. 134:4, 300-334〕。例えば、ある研究では副作用に関する 47 の事例報告のうち 35 が後に「はっきり正しい」とされた〔Venning GR. Validity of anecdotal reports of suspected adverse drug reactions: the problem of false alarms. Br Med J (Clin Res Ed). 1982;284:249-52.PMID: 0006799125 〕。 研究者は、新たな仮説を示唆・提案するものとして事例証拠を使うこともあるが、決して仮説を補強する証拠としては使わない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「事例証拠」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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