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事林広記[じりんこうき]
事林広記(じりんこうき)は、南宋の末に福建崇安の陳元靚(ちんげんせい)が著した〔清の著名な蔵書家陸心源の考証による〕、日用の百科事典タイプの民間書籍である。当時の民間の生活に関する資料を大量に含んでおり、かつ挿絵入りの類書という新しいジャンルを切りひらいた。わかりやすいために、広く普及した。『事林広記』の「帝系」の項には「大元聖朝」の一節があり、そこに「今上皇帝中統五年」(1246年)「至元万万年」〔「至元万万年」とは、書かれた当時が至元年間であることを意味する〕とあることから、元初のフビライの中統年間から至元年間のはじめ(13世紀中ごろ)に書が完成したことがわかる。この本の原刊本は失われており、現在は元・明の刻本および和刻本などが知られているが、いずれも増改を経ている。 ==内容== 事林広記は南宋および元の時代の生活百科事典である。 元の時代の百科事典として、まず元朝の領域を示した「大元混一図」を置いている。その中に元の上都・大都が描かれている。ついで元朝の郡邑・蒙古字体・パスパ文字の百家姓・元の官制・元の交鈔貨幣・元の皇帝などを順次紹介している。それから元の市井生活および市民生活の常識を紹介しているが、そこでは生活類百科事典ではじめて挿絵を使用している。挿絵には元の騎馬・弓術・拝礼・車両・旗幟・学校・先賢神聖・孔子・老子・昭烈武成王・宴会・建築・囲碁・シャンチー・投壺・盤双六・打馬(ダイスゲームの一種)・蹴鞠・幻術・唱歌などがあり、元の歴史や社会生活を研究する上の一級の視覚的資料となっている。 パスパ文字で書かれた百家姓に多くの紙幅をさいており、かつ「蒙古字体」の説明を行っている。パスパ文字は後世使用されなくなり、元の滅亡後は廃棄されたため、このパスパ文字百家姓はパスパ文字の実物を残すものとして重要である。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「事林広記」の詳細全文を読む
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