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二極真空管 : ウィキペディア日本語版
真空管[しんくうかん]

真空管(しんくうかん)は、整流発振変調検波増幅などを行うために用いる電気電子回路用の能動素子である。
== 概要 ==
一般的にガラス金属あるいはセラミックスなどで作られた容器内部に複数の電極を配置し、容器内部を真空もしくは低圧とし少量の稀ガス水銀などを入れた構造を持つ。原理としては、電子を放出する電極(陰極)を高温にして熱電子放出効果により、陰極表面から比較的低い電圧により容易に電子を放出させ、この電子を電界磁界により制御することにより、整流、発振、変調、検波、増幅などができる。
日本語では、真空管電子管あるいは熱電子管などと呼ばれる。アメリカ英語では「管」を「」、イギリスでは「」などと呼ばれる〔後述する「球」の由来とも考えられる。〕。「電子管」は熱電子を利用しないものなど、より広い範囲の素子を指して使われることもある。
二極管が発明されたイギリスを中心とした欧州で主に、その電極の数により、二極管のことをダイオード、三極管のことをトライオード、四極管のことをテトロード、五極管のことをペントード(以下同様)という。さらに二極管の中でも整流に用いるものを特にレクティファイアと呼ぶこともある。
初期の真空管の、白熱電球と似た形状からとも、英語の「」からとも考えられるが、日本では「球」(きゅう、たま)とも呼ばれる。たとえば俗な言い方だが、ソリッドステートの(トランジスタの)アンプに対して真空管使用のものを「球(たま)のアンプ」と言うなど。また、セット(電気回路による装置)に使っている真空管の個数を称して「n球(きゅう)」という言い方をする。例えばスーパーヘテロダイン方式によるAMラジオ受信機の、代表的な構成の一つである真空管を5本使用しているものを、「五球スーパーラジオ」という。なお、真空管の代替として発明された半導体トランジスタを球と対比的に「石(いし)」「~石(せき)」と俗称している。
日本では広義に、真空もしくは低圧雰囲気空間における電界磁界による電子の様々な振る舞いを利用する素子を総称する場合もある(蛍光灯などの光源目的としたものを除く)。すなわち、その容器内部を真空もしくは低圧とした構造から「真空管」の名を持ち、陰極線管ブラウン管など)、プラズマディスプレイ放射線源管(代表的なものとしてX線管)、放射線検出管(代表的なものとしてGM計数管)なども真空管のひとつである。
21世紀では、一般的な電気電子回路において汎用的(整流、変調、検波、増幅など)に用いる目的の素子としては、多くが半導体に置き換えられ、真空管はその役割をほぼ終えているが、半導体では実現が難しい高周波/大電力を扱う特殊な用途での増幅素子として現在でも使われており、日本でも放送局用、また防衛省向けとして製造されている。またオーディオアンプや楽器用アンプなどでは、現在も真空管による増幅回路がしばしば用いられるため、それらの用途のための真空管が現在も製造されている。
一方、特殊な真空管の一種であるマグネトロンは、強力なマイクロ波の発生源として、電子レンジレーダーなどに使われ、現在でも大量生産されている。テレビ受像機などに用いるブラウン管も広義の真空管であり世界で量産されているが、薄型テレビへの移行から減少傾向にあり日本国内での生産はオシロスコープなどの測定機などを除き終了している。
他にも、X線を発生させるX線管や、高精度光計測に用いる光電子増倍管核融合装置のマイクロ波発生源など、真空管は高度で先端的な用途に21世紀現在も使われている。プラズマディスプレイ蛍光表示管 (VFD) などには、長年に渡り蓄積された関連技術が継承されている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「真空管」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Vacuum tube 」があります。



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