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二流の人 (小説)[にりゅうのひと]
『二流の人』(にりゅうのひと)は、坂口安吾の中編小説。黒田官兵衛(黒田如水)を主人公とした歴史小説である。「第一話 小田原にて」「第二話 朝鮮で」「第三話 関ヶ原 」の全3章から成る。権謀術数にかけては人に譲らないほど秀でていたが、二流の武将に甘んじた黒田如水を独自の目線で捉えた作品で〔「カバー解説」(文庫版『白痴・二流の人』)(角川文庫、1970年。改版1989年、2008年、2012年)〕〔、その後に書かれた他の安吾の歴史小説の根幹をなす作品ともなっている〔三枝康高「作品解説」(文庫版『白痴・二流の人』)(角川文庫、1970年。改版1989年、2008年、2012年)〕。 豊臣秀吉、徳川家康、石田三成ら、四囲の情況が自然に天下を望む自分の姿を見出すまでは野望を持たず、自己を突き放したところに自己の創造の発見を賭けた「芸術家」としての天下人と、戦略にたけた野心児であったが時代に取り残され、どさくさに紛れて天下を望む「二流の人」として人生を終えた黒田如水とが対比的に描かれ〔住友直子「坂口安吾作品ガイド100『二流の人』」(『KAWADE夢ムック文藝別冊 坂口安吾―風と光と戦争と』)(河出書房新社、2013年)〕、戦国の英雄たちの個性が、戯作的な文体と講談風の語り口で表現されている〔。 == 発表経過 == 1944年(昭和19年)、雑誌『現代文學』1月号(第7巻第1号)に「黒田如水」(のち「第一話 小田原にて」の「一」と「二」)が掲載され〔関井光男「解題」(『坂口安吾全集 3』(筑摩書房、1999年)〕、「黒田如水」の続編(「第一話 小田原にて」の「三」以降と、「第二話 朝鮮で」と「第三話 関ヶ原」)を書き下ろしで追加した『二流の人』が、戦後の1947年(昭和22年)1月30日に、火野葦平が主宰する出版社・九州書房より「中篇小説新書」の一冊として単行本刊行された〔〔関井光男「解題」(『坂口安吾全集 4』(筑摩書房、1998年)〕。 その後、「第二話 朝鮮で」の「三」の部分を、短編『我鬼』の内容と組み換えた改訂版が1948年(昭和23年)1月に思索社より刊行された〔。『我鬼』は1946年(昭和21年)9月、雑誌『社会』〔『鎌倉書房』から創刊された総合雑誌。発行人は岡沢一夫。編集人は清水立夫。のちに大森直道に代わり、1949年(昭和29年)5月に全30冊で廃刊した。〕創刊号に掲載されたものである〔。なお、1998年(平成10年)刊行の『坂口安吾全集 4』(筑摩書房)には、初出稿の九州書房版が収録され、別途に『我鬼』も収録されている。文庫版は角川文庫『白痴・二流の人』で刊行されている。角川文庫は思索社版(改訂版)である。
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