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二重語(にじゅうご; )とは、ひとつの言語の中で、共通の語源たるひとつの単語に由来しながら、それぞれに異なる語形をとり、異なる意味や機能のもとに併用されている、2つの語をいう。姉妹語ともいう〔ただし、この語は「姉妹言語」の意味に使うことも多い。〕。 似たものとして、三重語、四重語などの多重語もある。 借用語(外来語や古典語からの復活)が複数の時代・経路を通じて入ってきた結果生じたものが多いが、純粋な土着語が何らかの理由で複数に分化するような場合もある。 ==英語の例== ; :いずれも古英語由来の土着語だが、後者は接続詞として特化(文法化)し、適応的に音の短縮を生じた。 の意味に相当するドイツ語 は、 との語源的関連を把握しやすい。 ; : はバイキングのもたらした古ノルド語由来の語。 は古英語由来で、西ゲルマン語の音変化(sk- > sh-)を経ている。 ; :語義はそれぞれ「贖罪」と「身代金」。ラテン語 「買い戻し、身請け」より。 後のキリスト教により教義用語として採用された結果、前者はやや高尚な意味をもつようになった。 対して、後者は純然たる民衆語の系統。 :なお、このような「ラテン語の語尾だけを変えた“直輸入語”」と「中世フランス語を経て変形した民衆語」とのペアは少なくない。ほかに数例を挙げておく。 後者の語はその音だけでなく、意味も少なからず変化している場合が多い。 : *ラテン語: 「計算」 > 「比率」 - 「配給、割り当て」 - 「理、理由」 : *ラテン語: 「飲み、ひと飲み」 > 「一服」 - 「毒」 : *ラテン語: 「安心な」 > 「安全な」 - 「確実な」 : *ギリシア語: 「宝物庫」 > ラテン語: 「宝庫、宝物」 > 「シソーラス」 - 「宝物」 : *俗ラテン語: 「所有物、財産」 > 「資本」 - 「畜牛」 : *中世ラテン語: 「監察する」 > 「監督する」 - 「概観する」 ; :多重語の例。ラテン語 「(投擲用の)円盤」より。 は早い段階でゲルマン語に入ったもので、 「テーブル」と同源。 は古いイタリア語経由で、 「演壇」はフランス語経由。 ; :後期ラテン語 「ゲストハウス、宿屋」から。 は中世の用法「救護院」から、病院の発達にともなって「病院」を意味するようになった。 は中世フランス語からの借入、 は近世に入ってから同じ語を再借入したものであり、その間に語形・語義の変遷を被っている。ちなみに現代フランス語では、 の語はあるが、英語 に相当する語彙は存在しない。 ; :前者はノルマン・コンクエストによってもたらされた中世フランス語、後者は近世フランス語に由来。現代フランス語の に相当。 ; :いずれも古典ギリシア語 > ラテン語 に由来する。、、、 など、多くのヨーロッパ言語における同系語は「歴史」「物語」両方の意味を兼ねるが、英語では2つの語形に分化し、意味によって使い分けるようになった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「二重語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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